記者の目 / 開発・分譲

2011/12/21

今話題の「サービス付き高齢者向け住宅」はこんな住宅だ!

長谷工ライブネット、同社初のサ付住宅「ライブガーデン千葉浜野」を報道陣に公開

 10月20日、改正高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)が施行され、サービス付き高齢者向け住宅(サ付住宅)の登録制度がスタートした。  サ付住宅とは「高齢者単身・夫婦が安心して居住できる賃貸等の住まい」(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムより)と定義されているが、要は高齢者にふさわしいハードと安否確認サービス・生活相談サービスというソフトを備えた高齢者向けの住宅と理解すればよいだろう。事業者の申請に基づき都道府県、政令市、中核市が登録を行ない、併せて事業者へ指導・監督を行なうというシステムとなっている。  この度、(株)長谷工ライブネットが開発を進めていたサ付住宅「ライブガーデン千葉浜野」(千葉市中央区)が28日、12月1日のオープンを前にマスコミ・関係者に公開された。  この時の模様をレポートする。

「ライブガーデン浜野」外観
「ライブガーデン浜野」外観
Aタイプ(18平方メートル)タイプの居室(モデルルーム)。トイレには手すり、ベッドがある位置の壁には緊急連絡ボタンが設置されている
Aタイプ(18平方メートル)タイプの居室(モデルルーム)。トイレには手すり、ベッドがある位置の壁には緊急連絡ボタンが設置されている
Bタイプの部屋にはミニキッチンも備えられている。料理をするのはちょっと厳しそうだが、お湯を沸かしたりというのには重宝しそう
Bタイプの部屋にはミニキッチンも備えられている。料理をするのはちょっと厳しそうだが、お湯を沸かしたりというのには重宝しそう
Bタイプ居室。こちらのタイプはすでに全室申込済みとのこと
Bタイプ居室。こちらのタイプはすでに全室申込済みとのこと
共同生活室。リビングと同じ感覚で利用してもらえるよう、テレビが設置され、また共用のキッチンも用意されている
共同生活室。リビングと同じ感覚で利用してもらえるよう、テレビが設置され、また共用のキッチンも用意されている
浴室はこの「個浴室」のほか、機械浴の浴室も用意している。なお個浴室は、反転タイプで各フロア2つずつ用意されている。これは半身まひがある入居者にも使いやすいよう配慮してのもの
浴室はこの「個浴室」のほか、機械浴の浴室も用意している。なお個浴室は、反転タイプで各フロア2つずつ用意されている。これは半身まひがある入居者にも使いやすいよう配慮してのもの
洗濯室。各フロアに用意されており、無料で利用できる
洗濯室。各フロアに用意されており、無料で利用できる
「健康管理室」(左)と居宅介護支援事業所(右)。これらを備えたことで、地域包括ケアを実現できる体制を整備した
「健康管理室」(左)と居宅介護支援事業所(右)。これらを備えたことで、地域包括ケアを実現できる体制を整備した

サポート体制が整備された賃貸住宅

 「ライブガーデン千葉浜野」は、JR「千葉」駅から内房線で10分ほどのJR内房線「浜野」駅から徒歩4分。駅至近にもかかわらず、住宅地の落ち着いたまち並みの中に所在する。敷地面積2,605.12平方メートル、鉄筋コンクリート造地上4階建て。室数は72室(単身向けAタイプ〈18平方メートル〉が69室、夫婦向けBタイプ〈36平方メートル〉が3室)。

 なお、本来サ付住宅の居室面積要件は基本25平方メートル以上だが、「ライブガーデン浜野」では居間、台所、食堂といった共用施設が備えられているため18平方メートル以上の要件となり、これをきちんとクリアしている。

 契約は賃貸借契約となる。つまりは賃貸住宅だ。

 居室内にはトイレと洗面所が備えられ、緊急通報ボタンが用意されていた。また各フロアにヘルパーステーションがあり、ボタンが押されたら、数分以内にはスタッフがかけつける体制を整えている。
 居室については若干の狭苦しさを感じたが、共用リビングをうまく活用すれば、その点は気にならなそうだ。

 なお、Bタイプには、ミニキッチンも設置されており、お湯を沸かしたり、簡単な料理をしたりということができるようになっている。一口コンロのため本格的に料理をするには難儀しそうだが、前述のとおり電子レンジやIHクッキングヒーターを備えた共用キッチンが各フロアに一つずつ設置されているため、そこで料理をすれば問題なさそうだ。

介護サービス提供体制も万全

 同物件では24時間の有人管理に加え、介護事業サービス会社の(株)やさしい手(東京都目黒区、代表取締役社長:香取 幹氏)が建物内に「24時間巡回型訪問介護事業所」と「居宅介護支援事業所」を設置した。ここは入居者のみならず、周辺エリアに住まう方にも介護サービスを提供する。

 これは「地域包括ケアシステム」という、国が推進する介護システム整備に則ったものだ。簡単に言うと、地域住民に対し、介護、医療、健康といった福祉サービスを、関係者が連携・協力して提供していくという試みだ。
 
 また「ライブガーデン千葉浜野」では、医療法人社団ふけ会 富家千葉病院(千葉市稲毛区、理事長:富家 隆樹氏)と提携、日々の健康管理や緊急時サポートを行なう体制を整備することで、この地域包括ケアの提供体制を実現した。

 なお、このようなサービス体制を整備したことで、従来の高齢者向け賃貸住宅ではなかなか受け入れが難しかった、介護度が高い人や医療行為が必要な人(胃ろう、インスリン、バルーンカテーテル、ストーマ、在宅酸素など)のほか、認知症の方の入居も可能とした。

年金ですべてがまかなえる価格設定

 高齢者にとって至れり尽くせりともいえるこの住宅、気になるのは料金だ。
 世には入居金数千万円、月額数十万円という、「一般人にはなかなか手の届かない」高齢者施設がたくさんあるが、「ライブガーデン千葉浜野」では“年金ですべて賄える”料金設定となっている。

 全住戸入居一時金・更新料は不要(要、敷金3ヵ月)。月額賃料はAタイプ3万6,000円~、Bタイプは7万8,000円~。その他共益費(Aタイプ2万円、Bタイプ2万5,000円)、食基本サービス費(Aタイプ2万5,000円、Bタイプ5万円)。その他専有部の水道光熱費や食費を含めても、月額1人13万5,000~14万円ほどで生活できるという。

 「10月から募集を開始したが、11月末までですでに250組500名の来場者があり、6割ほど仮申し込みを受けている」(長谷工ライブネット代表取締役社長・木下 寛氏)とのこと。高齢者向け住宅・施設では、数年かけて満室になるケースがほとんどであるから、かなり順調な滑り出しといえるだろう。

 長谷工ライブネットでは、今後もサ付住宅の供給に力を入れていく考えだという。

 なお、サ付住宅の登録制度は10月20日に開始。着々と登録が進められている。なお 「ライブガーデン千葉浜野」は千葉市にて11月28日に無事登録された。ちなみに千葉市では第一号の登録である。

 全国のサ付住宅の登録物件は、国土交通省の「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」で検索が可能。供給を検討する事業者向けの情報も掲載されているので、ぜひアクセスしてみていただきたい。(RN)

***

【関連ニュース】
千葉県でのサ付住第1号「ライブガーデン千葉浜野」を公開/長谷工コーポ、長谷工ライブネット(2011/11/30)
「サービス付き高齢者向け住宅」第1号物件、千葉市で12月開業/長谷工ライブネット(2011/10/7)
「改正高齢者すまい法」、10月20日に施行(2011/7/26)

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。