記者の目

2014/4/11

年齢問わず楽しめるまち、日本橋

商業施設「COREDO2」「COREDO3」同時オープン

 東京都中央区日本橋。江戸時代から続く、今も老舗店舗が数多く立ち並ぶ商業のまちだ。それ故に、比較的年配の方が好む“通好み”のまち、というイメージを抱く人も多いのではないだろうか? 少なくとも若い層がこぞって出かけるまちというイメージのまちではない。  そんな日本橋で三井不動産(株)が3月20日に、商業施設「COREDO室町2」「COREDO室町3」を同時オープンした。  日本橋はどう変わるのか、レポートする。

「COREDO室町2」にオープンした日本橋初のシネマコンプレックス「TOHOシネマズ日本橋」。週末にはオールナイト営業を実施しており、夜間の集客にも期待がかかる
「COREDO室町2」にオープンした日本橋初のシネマコンプレックス「TOHOシネマズ日本橋」。週末にはオールナイト営業を実施しており、夜間の集客にも期待がかかる
「COREDO室町3」3階には、茶室「囲庵」と31.5畳の大広間で構成されるレンタルスペース「橋楽亭」がオープン
「COREDO室町3」3階には、茶室「囲庵」と31.5畳の大広間で構成されるレンタルスペース「橋楽亭」がオープン
仲通りには食べ歩きができるような気軽な店舗を配置。ベンチも用意している
仲通りには食べ歩きができるような気軽な店舗を配置。ベンチも用意している
1階にはテラス席を用意している店舗も。過ごしやすい季節には、サッシをあげてオープンエアにし、さらに通りの賑わいを演出する計画
1階にはテラス席を用意している店舗も。過ごしやすい季節には、サッシをあげてオープンエアにし、さらに通りの賑わいを演出する計画
既存ビルでも多くのリニューアルを実施。日本橋三井タワー1階のカフェでもテラス席を用意し、通りの賑わいを演出する
既存ビルでも多くのリニューアルを実施。日本橋三井タワー1階のカフェでもテラス席を用意し、通りの賑わいを演出する
地元日本橋の老舗「芋屋金治郎」が「COREDO室町2」に出店。芋けんぴを食べながらまちをそぞろ歩きするのも楽しそう!
地元日本橋の老舗「芋屋金治郎」が「COREDO室町2」に出店。芋けんぴを食べながらまちをそぞろ歩きするのも楽しそう!

日本橋再生へ、新商業施設が続々オープン

 江戸時代、日本橋は五街道の起点となり、非常に賑わいを見せていたという。しかし、徐々にその賑わいは消えていった。
 それをさらに加速させたのが、1999年の東急百貨店日本橋店の閉店だ。前身の白木屋時代から数えること300年超という歴史に幕を降ろしたことは、大きなニュースとして捉えられた。以降、日本橋のイメージは「古くからある商業のまち」から、「古くからあるまち」へと変化してしまったと言っても過言ではない。

 その日本橋がここ数年、大きく姿を変えてきている。

 日本橋に本社を置く三井不動産は、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトに、官・民・地元一体となっての「日本橋再生計画」を推進中。

 その第1弾として2004年、東急百貨店日本橋店跡地に建設されたのが日本橋一丁目ビルディングだ。低層部は商業施設「コレド日本橋」としてオープン。日本橋に大規模商業施設が新たにオープンしたということで、当時かなりの話題となった。

 続く05年には、日本橋三井タワーがオープン。世界的にも評価が高い一流ラグジュアリーホテルであるマンダリン・オリエンタル・ホテルグループを誘致し、06年に同ビル内に「マンダリン オリエンタル東京」が開業。国際都市としての基盤を整えていった。

 そして10年、室町東三井ビルディングの低層部に「COREDO室町」が開業。地域最大級の多目的ホール「日本橋三井ホール」がオープンしたほか、地元の老舗企業である「にんべん」や刃物専門店「木屋」、その他飲食店を含め人気の店舗が多数出店し、日本橋の集客力は格段に向上した。

通りに賑わいを取り戻す

 こうして徐々に賑やかさを取り戻してきた日本橋に、今回新たにオープンしたのが、室町古河三井ビルディングおよびちばぎん三井ビルディングの低層部にオープンした「COREDO室町2」と「COREDO室町3」である。

 なお、すでにオープンしている「COREDO室町」に隣接する形で「COREDO室町2」が、「COREDO室町」と通りを挟んで「COREDO室町3」がオープンした。

 「COREDO室町2」には、日本橋初となるシネマコンプレックス「TOHOシネマズ日本橋」が開業。全9スクリーン、約1,800席を用意し、金・土曜日にはオールナイト営業を行なうなど、若い層の集客に期待がかかる。
 「COREDO室町」と「COREDO室町2」をつなぐ連絡ブリッジも新たに開設され、「COREDO室町」の飲食フロア(2階)から、外に出ることなく「COREDO室町2」の飲食店街や「TOHOシネマズ日本橋」エントランスへ移動できるようになったことで、施設間の回遊性も高まりそうだ。

 また、「COREDO室町3」には、ヤング層にも人気の「無印良品」やインテリア雑貨を取り扱う「IDEE SHOP」など、雑貨やアパレルなどを取り扱う店舗が多数出店。さらに30畳の大広間と8畳の茶室「囲庵」を備えた「橋楽亭/囲庵」を開設。地域住民に利用してもらうほか、2020年の東京オリンピック開催を控え、増加している海外からの訪日客に向けて日本の、そして日本橋の魅力をアピールしていく。
 
 さらに、通りに賑わいを創出すべく、「COREDO室町2」「COREDO室町3」ともに、通りに面した1階部分には、テイクアウトができる飲食店や、テラス席を用意したヴェネツィアンバルやカジュアルフレンチといったレストランを配置。食べ歩きの楽しさを後押しするとともに、過ごしやすい季節には通り沿いのサッシを開放し、オープン化により賑わいを創出する。

 その他北海道から九州まで全国から選りすぐった食の名店や、全国各地の食の名店や生活雑貨、ファッション関係の店舗など、「COREDO室町」を冠する3施設に、実に83店舗が新規にオープンした。

 なお、既存商業施設でもリニューアルを実施。日本橋三井タワー1階のマンダリンオリエンタル東京のカフェなども、オープンテラスを開設。さらに地下1階には他店の人気メニューを持ち込みできる新しいカジュアルダイニング「COREDO室町タワーダイニング」をオープン。人が回遊し、賑わいを創出する空間づくりが行なわれている。

老舗商店街を楽しむも良し、新商業施設を楽しむも良し

 2施設のオープン初日は、雨足が強い中、多くの人が詰めかけ、オープン前から長い列をなし、オープンと同時に、施設は多くの人でごったがえした。

 これまで、アフター5に出かける先として、仲間うちで「日本橋」が挙がることは、正直少なかった。しかし、今後は「日本橋に飲みに行こう」「日本橋に買い物に行こう」という機会が増えるかもしれない。

 オープンした新施設以外にも、路地裏などにも老舗名店がひしめく日本橋。既存商店街をそぞろ歩きするのも実は楽しい。日本橋は今や、老若男女が一日楽しめるまちになったと言えよう。賑わいを取り戻した「日本橋」。ぜひ遊びに出かけてみていただきたい。(NO)

***
【関連ニュース】
東京・日本橋で地上22階建ての複合ビル着工/三井不動産(2011/11/16)
東京・日本橋の大規模複合施設、8月着工へ/三井不動産他(2012/07/25)
日本橋室町の新商業施設、14年3月20日に開業/三井不動産(2013/11/0)
「COREDO」にグローバル対応の2拠点をオープン/三井不動産(2014/01/16)
日本橋室町に2つの大規模複合ビル竣工/三井不動産(2014/01/29)
「COREDO室町2」「COREDO室町3」、20日にグランドオープン/三井不動産(2014/03/17)
日本橋新たな商業施設「COREDO室町2」「COREDO室町3」同時オープン/三井不動産(2014/03/20)
「コレド室町2」「コレド室町3」、開業4日で46万人来館/三井不動産(2014/03/26)

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。