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「きちんと賃料を支払っているユーザーが評価される仕組みを」。代位弁済状況を記録するデータベース構築へ/日管協

 (財)日本賃貸住宅管理協会賃貸保証制度協議会は29日、同協議会に加入する企業有志で代位弁済状況を記録するデータベースを構築することを決定、その運営母体として一般社団法人全国賃貸保証業協会を10月に設立することを発表した。

 従来の「連帯保証人」に代わり、家賃債務を保証する制度として登場した賃貸保証制度であるが、ユーザーが複数の保証会社を渡り歩くことで、賃料を長期間支払わなくても民間賃貸住宅への入居を続けることが可能である現状や、逆に賃料を長期間支払っている実績があるにも関わらずそれが評価されずに住宅弱者となっている消費者がいる実態を鑑み、与信を目的にした代位弁済のデータベースを構築するに至ったもの。

 データベースには、家賃滞納に関する情報ではなく、保証会社が家賃債務を弁済した履歴が掲載されるため、うっかり滞納や、短期的な滞納については情報として記録されない。

 なお、信用情報の登録については個人情報保護法を遵守し、利用者の同意を得た新規契約を対象にする予定で、登録される個人特定情報は、氏名、生年月日、性別、契約物件住所、携帯電話番号のみ。職業、収入、国籍等は含まない。
 また、登録された支払い情報は退去から5年、代位弁済情報は完済から5年で消去される予定。
 
 今後、運用ルールや内規、モニタリングの仕組みなどの詳細について慎重に協議を重ね検討を実施する方針で、運用時期は未定。

 全国賃貸保証業協会の会長に就任する予定の迫 幸治氏は、「一部報道で、家賃滞納者のブラックリストの構築だとの誤解を受けているが、あくまでも賃貸保証会社の代位弁済状況の記録であり、逆に弁済記録のない登録者には信用を担保できるものであると考えている。同データベースが適正に運用されることで、これまできちんと賃料を支払ってきたユーザーが評価される仕組みを構築したい」とコメント。

 また、一部団体から、「路上生活者を増やすことになるのでは」と抗議を受けていることについて、日本賃貸住宅管理協会常務理事の末永照雄氏は、「住宅弱者に対し、ある程度民間賃貸住宅市場でも援助していく必要があると考えているが、例えば、長期間収入がなく、生活設計がどうやっても成り立たない方などの場合は、行政による生活保護、救済が必要。現在、全国的に空室・空家が増えている民間の賃貸住宅市場では、賃貸住宅を所有するオーナーも経営が苦しく、民間の力でできる弱者救済には限度がある。そのため、行政に対し住宅弱者救済にあたるよう求めていきたい」との考えを示した。

 なお、全国賃貸保証業協会の設立時社員は9社。運用が開始すれば、月10万件程度ずつ情報が蓄積されていく予定。


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