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日本のオフィスビル「エリア選別」が広がると予想/ラサール不動産投資顧問

 ラサール インベストメント マネージメント インクは25日、「不動産投資戦略レポート」の中間レポートを発表した。主要30ヵ国における不動産投資の展望をまとめた「不動産投資戦略」の、2014年が半年経過した時点での傾向についてまとめたもの。

 14年前半の市場は、「健全な資本市場への回帰」と「不動産ファンダメンタルズの緩やかな回復」がみられ、世界の主要都市における不動産価格は賃料収入を上回るペースで上昇した。一方で資産価格が上昇するものの、消費者の所得や雇用情勢が改善しない等、現在不動産が生み出しているリターンが持続的でない可能性にもみられると指摘した。

 アジア太平洋の市場については、取得競争が激化していると報告。REITのエクイティ調達が13年に最高水準に到達し、14年も堅調に推移していることから、投資家は今後も不動産への分配を増やす傾向にあるとした。不動産ファンダメンタルズはおおむね改善しており、緩やかな賃料成長が見込まれるとしている。 
 投資機会については、物流施設への関心が高まっており、6%以上のリターンが期待できるとした。ただし、日本では物流施設の価格上昇により期待リターンが低下。雇用の増加がオフィス需要を高めるものの、世帯収入の増加がインフレ率を下回ることによって、商業施設や住宅の持続的改善にリスクが残るとし、インカム不動産への投資においてはバリューアップ投資が有効であるとした。

 供給の見通しについては、住宅と物流が安定的に推移し、オフィスについてはエリアの選別が明確になるとした。東京オフィスの空室率については、丸の内/大手町や赤坂、渋谷等で改善すると予測した。

 また、アベノミクスが不動産市場に与える影響については、消費税引き上げと法人税の引き下げ、TPPのインパクトが比較的大きいとし、「個人消費の低成長や所得格差の拡大が見込まれるため、テナント需要は商業からオフィスとなる。商業については生活必需品重視となり、TPPは都市化を進行させる」(ラサール不動産投資顧問(株)投資戦略・リサーチ部アソシエイトディレクター・高野靖央氏)と分析した。


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