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郊外中古マンション、価格維持率と沿線力・駅力に強い相関関係/トータルブレイン調査

 分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、埼玉・千葉の中古マンション市場検証したレポートを発表した。

 埼玉県内7路線・26駅、千葉県内8路線・20駅の中古マンション(2001~05年築、専有面積60平方メートル以上)成約事例を抽出し、その価格維持率を算出。沿線力・駅力・駅距離による価格維持率の違いを検証したほか、新築と中古の価格乖離を25~30%と仮定し、中古価格からみて新築価格が適正かどうかも検証した。

 調査した46駅中、徒歩8分以内の中古マンションで価格維持率が100%を超えていた(新築分譲時以上の値上がり)のは、京浜東北線「川口」駅、同「浦和」駅、同「さいたま新都心」駅、同「大宮」駅、総武線「船橋」駅、東武東上線「和光市」駅、京葉線「新浦安」駅に、徒歩9分以上の事例しかない東武野田線「新船橋」駅の8駅だった。また、90%台の価格を維持している駅は18駅だった。しかし、徒歩9分以上では、「新船橋」駅を除き価格維持率が90%を超えたのは5駅だけと、駅距離のある物件は軒並み取引価格が弱含みとなっていた。

 価格維持率の高い駅が集中した京浜東北線の各駅は、今春開業した「上野東京ライン」の開業で利便性が向上したほか、「和光市」駅は副都心線の開業による利便性向上など、沿線の利便性向上や人気沿線の人気駅ほど高い価格維持率となる傾向が強かった。

 一方、中古マンションの価格から新築マンションの相場を算出したところ、中古の価格維持率が高い人気駅は、新築も価格水準が高くなっているものの、おおむね適正水準であるとはじき出した。中古の価格維持率が高く新築の供給が少ないエリアは受給バランスが良好の「新築供給狙い目エリア」となるとしたが、中古の価格維持率の低いエリアで新築供給が多く価格上昇率が高いエリアは、今後の新築開発にあたり、価格設定が重要なエリアとなるとした。

 同社は、「郊外のマンション市場は中古中心のマーケットになっていることから、新築は需給バランスが良好であり、価格維持率が高く中古の取引価格から想定した新築マンション価格が高水準の駅は、新築が充分供給できる」とした。その上で、高い価格維持率が期待できる「沿線力の高い沿線」「駅力の高い駅」「駅近立地」を意識すべきと助言している。


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