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新築マンションの収益性、三大都市圏で急激に悪化/東京カンテイ調査

 (株)東京カンテイは31日、2016年「新築マンションPER」を発表した。「マンションPER」とは、一定期間に販売された新築マンションの価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを示す値で、駅別のマンションの収益性の指標となる。集計期間は15年7月~16年6月。

 首都圏全体の新築マンションPERは、28.66(前年比1.36ポイント増)で、02年の調査開始以来最も高い数値となった。70平方メートル換算平均価格が5,998万円(同10.3%上昇)だったのに対して、70平方メートル換算平均賃料が17万5,551円(同5.3%上昇)にとどまった。13年まで、PERは24弱で推移していたが、新築マンション価格の高騰を受け14年に24.99、15年に27.30と急激に上昇している。
 また、16年は近畿圏28.30(同2.26ポイント上昇)、中部圏28.55(同1.75ポイント上昇)も共に大きく上昇。首都圏同様、平均賃料は上昇したものの、価格がそれ以上に上昇したことで、収益性が低下している。

 首都圏の駅で新築マンションPERが最も低く、収益性が最も高いと算出されたのは、東京メトロ「虎ノ門」駅でPERは14.17。平均価格1億9,100万円に対して平均賃料は59万3,420円だった。2番目に低かったのは京浜急行本線「立会川」駅で18.07、3位はりんかい線「品川シーサイド」駅で18.19だった。PERが20を下回ったのは9駅。収益性上位には利便性が高く賃料水準の高いターミナル駅や、販売価格の低い支線駅が多くランクインしている。

 一方で、収益性が最も低いとされたのは東京メトロ「六本木」駅で、PERは45.40。低収益性とされた駅には、大手ディベロッパーがランドマーク的な高級物件を供給したエリアが多く、マンション販売価格の高騰が収益性の低下を招いているという。

 同社では「今回は過去の調査に比べて郊外部の収益性も大きく悪化している。マンション価格が高額になってしまえば実需層の多くは手が出なくなる。マンションの購入者を増やすのであれば、物件価格を下げるしか方法はない」とコメントしている。


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