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東京オフィス市場は17年がピークと予測/CBRE

 シービーアールイー(株)(CBRE)は20日、1月11日に発刊予定の特別レポート「Japan Market Outlook 2017」の概要をマスコミ向けに解説した。

 同レポートは、オフィス、物流施設、不動産投資の3つのマーケットについて、16年を振り返りつつ、18年までの見通しをまとめたもの。

 同社では、17年に賃貸・投資のいずれにおいても市況の転換点を迎えると予測。オフィス・物流施設の両市場で、18年以降新規供給が増加し、マーケットによっては借り手市場へと徐々に移行していくと分析した。
 しかし「エリアによる需給バランスの格差が拡大。これまでは東京都と地方都市は同じ動きを示してきたが、今後2~3年はそのパターンが変わって来るかもしれない」(同社リサーチ エグゼクティブディレクター・大久保 寛氏)と述べた。
 さらに、プライムアセットの供給増加に伴い、テナントにとっては選択肢の増加、投資家にとっては投資機会の増加につながることが期待されるとの見方も示した。

 マーケット別では、オフィスは、16年はすべての都市で空室率が低下。東京は17~18年にかけて過去10年間の平均並みの年間約18万坪の供給が予定されているが、その7割をグレードAが占め、これは過去平均を約4割上回る。新築グレードAについては、賃料の高騰によりリーシングに時間を要するものも散見されることから、賃料は17年をピークに低下を開始し、18年末には16年比1.0%の下落を予測している。
 地方都市は、新規開設や拡張ニーズなどの移転需要が旺盛で、18年まで空室率の低下、賃料上昇が継続すると分析した。

 物流施設は、首都圏・近畿圏で需要を上回る供給が継続していることから、平均空室率は上昇。しかしエリアにより差が出ており、首都圏の圏央道では、16年末空室率の20%前後から、今後さらに上昇するとの見通し。その他3エリア(東京ベイエリア、外環道、国道16号)では、16年後半に空室率が上昇したが、いずれのエリアも10%を下回っており、今後も大きく上昇することはない、と予測している。
 近畿圏では、「17年は、過去最多供給量であった16年の倍の供給が予定されている」(同氏)ことから、需給がタイトな内陸部で賃料がゆるやかな右肩下がり、湾岸部ではテナントの動きが鈍く、賃料が下落していくと推測した。

 不動産投資市場は、07年の調査開始以降「NOIが最低値」(同氏)にあり、賃料の先安感から11~13年あたりに購入した投資家が利益確定のために売却する投資家が増える可能性がある点を指摘。16年は都心部を中心に売り物件が少なく年間総投資額は前年比25%減の2兆7,600億円程度の見込み。
 一方で、依然利回りが高い地方都市に投資する投資家が増えることが見込まれることから、17年の不動産投資額については、16年の見込額を3%上回る2兆8,560億円と予想した。


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