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立地適正化計画、実効性高めるための検証を

 国土交通省は13日、10回目となる「都市計画基本問題小委員会」を開催した。

 今回から、コンパクトシティ実現に向け2014年からスタートした「立地適正化計画制度」の実効性を高めるための方策についての議論を開始した。同制度では、市街地を、居住を誘導し人口密度を維持する「居住誘導区域」と生活サービスを誘導する「都市機能誘導区域」を自治体が定め、市街地を集約し、公共交通の維持充実を図るもの。スタートから5年間で440都市が取り組んでおり、186都市で計画が作成・公表されている。

 これまでの取り組み状況では、(1)人口10万人未満の自治体の取り組みが遅れている、(2)計画の作成の際にキモとなる住宅政策や公共施設の再編などとの連携が今一つである、(3)人口分布や公共交通、空き家状況や地価動向などの分析を行なっていない都市が見られるなどの特徴があった。

 また、居住誘導区域を設定した都市のうち、人口が減っている都市が3割あり、都市機能誘導区域を設定した都市のうち、やはり3割で誘導施設数が減っていた。

 これらの成果を踏まえ、居住誘導区域の設定方針、公共交通網など他の関連計画との一体性、周辺自治体同士の広域連携、効果の把握、住民や自治体への働きかけをどのように取り組んでいくかについて、委員に意見を求めた。

 委員からは「IoTを活用した働き方改革の中で居住と就労空間を分離する考えだけでなく、これらを一体化していく考えも必要では」「住宅政策と交通政策との連動は必須」「バスの本数が減るだけで賃貸住宅の空室が増えることもある。公共交通との連携は重要」「居住誘導区域で人口が減っているというデータが独り歩きしてはまずい」「都心から郊外への流れ、二地域居住の流れも考察すべき」「各自治体が都市経営の観点から計画を立案しているかをチェックすべき」「立地適正化計画を策定することで、他の政策に自動的に連動するようにすべき」といった意見が出された。


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