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団地のコミュニティをテーマにセミナー

「第2回『団地くらし』セミナー」の意見交換の様子

 東京都住宅供給公社と神奈川県住宅供給公社は31日、「第2回『団地くらし』セミナー」を開催した。

 横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授の藤岡泰寛氏による基調講演では、「住まいや働き方が多様化し、一つひとつは小さくても多様な経済が回り、多世代が集える場が求められている。昔のように所得の多い人が持ち家、低い人が賃貸などといった上下で住まいを図る考え方から若年層を中心に自身のニーズにあった住まいを選択する考え方が生まれている」とした上で、コミュニティのある団地やコレクティブハウスでの取り組みを紹介。「コミュニティをつくり出す人たちが活動しやすい環境が必要。SNSを活用するなどコミュニティに関心の高い人を引き込んでいく仕掛けも重要になる」とした。

 公社による事例紹介では、東京公社の「コーシャハイム千歳烏山」(東京都世田谷区)のコミュニティカフェ・レンタルスペース・シェアライブラリーにおいて、専門のコーディネーターを設置することで、さまざまな個人・団体がイベント等を開催できており、年間の来場者数が団地内外から1万8,000人と、多様な人による交流が生まれているとした。神奈川公社では、入居率が低下していた「二宮団地」(神奈川県)での取り組みを紹介。入居検討者を招いた定期的な食事会、近隣での農園作業、団地内店舗でのワークショップ開催などによって、団地暮らしを楽しむ若年層が増えており、その入居者からの紹介で転居してくる人が増えていると発表した。

 その後、登壇者によって団地コミュニティをテーマに意見交換も行なった。「挨拶できるような関係性を築くことで、安心で豊かな暮らしを実現できる」「団地内にある場所を地域に開くことが交流促進につながる」「何かチャレンジしたいという人たちをきちんと受け止めること、実現するフットワークの軽さが重要」「地域愛がある人は実はたくさんいる。いかにそういう人たちを巻き込んだいくかがポイント」などの意見が挙がった。


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