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「心理的瑕疵に関する検討会」が初会合

初会合の模様

 国土交通省は5日、「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」の初会合を開いた。

 取引対象の不動産で死亡事故が発生するなどの「心理的瑕疵」については、取引価格や賃料の下落、取引のキャンセルや遅延、賃貸住宅への高齢者の入居拒否等の原因となるなど、既存住宅市場活性化の阻害要因としてその取り扱いが問題視されてきた。同省も、2019年4月にとりまとめた「不動産業ビジョン2030」の中で、今後重点的に解決すべき政策課題として「心理的瑕疵を巡る課題の解決」を盛り込んでいた。

 検討会では、不動産取引に際しての心理的瑕疵に係る適切な告知のあり方や、その取り扱いに関するガイドラインの策定に向けた検討を進めていく。不動産業界団体関係者、弁護士、消費者団体関係者など10名で構成。座長には、明海大学不動産学部長の中城康彦氏が就任した。

 会合の冒頭挨拶した同省土地・建設産業局不動産業課長の須藤明夫氏は「死亡事故等が発生した不動産の取引現場では、どの程度の期間説明すればよいかなど判断の拠り所となるガイドラインが存在せず、既存住宅流通の円滑化を阻害している。検討会では、取引関係者の利益の確保を前提とした心理的瑕疵の告知の在り方やガイドライン策定について議論していきたい」などと語った。

 また、中城座長は「心理的瑕疵は古くからの課題。不動産取引に係るトラブルでは善管注意義務や債務不履行より件数は少ないものの、一度発生すると解決まで長期化し、経済的負担もかかる。不動産の所有者、利用者、地域、不動産会社を巻き込み、負の連鎖を起こしていく。ストック活用は社会の要請。不動産の所有者、利用者、不動産会社、金融機関等が心理的瑕疵問題に前向きに取り組めるよう議論していきたい」と抱負を述べた。


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