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不特法改正に向け中間とりまとめ

 国土交通省は22日、「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」(座長:牛島総合法律事務所弁護士・田村 幸太郎氏)の中間とりまとめを公表した。2019年9月の検討会設置以来、3回にわたり議論を実施。個人投資家による適切な不動産投資の促進とESG投資の拡大やブロックチェーン技術の進展等の新たな潮流への対応を目指して検討課題を抽出、今後の取り組みの方向性を示している。

 「不動産特定共同事業の適切なガバナンスの確保」については、近年、区分所有建物を投資家に小口販売して一括借上後に転貸し賃料をプール・分配する事業が見られることから、不特法の対象とすべき区分所有不動産投資契約を規定することを検討するとした。また、任意組合型の不動産特定共同事業では投資家が無限責任を負うため投資しづらい側面があることから、不動産特定共同事業におけるLPS(投資事業有限責任組合)の投資対象として不動産を含めることのメリット、活用手法等に関する議論を開始することも検討する。その他、広告において事業者名称や商品リスク等の記載の義務付けなどについて検討する必要があるとしたほか、国土交通省のホームページ等において注意喚起を行なうこととした。

 「不動産と社会の関わりをとらえた規制の適正化」については、不動産に付随した収益でありながら不動産取引以外から得る収益を分配する場合に、不特法に該当するか否かについて、個別事例を検証した上で事業者にとって紛らわしくない解釈を示して公開する方向で検討。ESG情報の開示に積極的に取り組む事業者の参考となるよう、ESG情報の開示に関するガイダンスの策定も検討する。

 「トークンの取り扱い」に関しては、トークン発行による資金調達に必ずしも限定せず、不動産に係る新技術の動向について、投資家保護・適切な投資促進のために必要な制度検討が求められるとした。

 今回の中間とりまとめを踏まえ、同省では今年度中に不動産特定事業に関する法令等の改正案を作成する予定。


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