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地場景況感、コロナ禍が直撃しDIは過去最低

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は4日、「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2020年4~6月期)の結果を発表した。

 北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は6月12~26日。有効回答数は2,149店。

 当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏で25.9(前期比17.7ポイント低下)。緩やかな低下傾向ではあったものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響が直撃し、大幅に悪化した。近畿圏も23.4(同17.3ポイント低下)と大きく低下。首都圏・近畿圏共に調査開始以来の最低値となった。
 全国14エリアのすべてが大幅に低下。東京23区、東京都下、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県、北海道、静岡県、広島県、福岡県の10エリアで調査開始以来最低の数値で、緊急事態宣言による外出自粛が響いた結果となった。

 また、売買仲介においても同様に、コロナ禍の影響が色濃く表れた。首都圏ではDIが26.6(同13.2ポイント低下)、近畿圏は22.8(同15.1ポイント低下)となり、賃貸仲介と同様に調査開始以来最低となった。
 エリア別では、14エリア中、静岡県と広島県を除く12エリアで過去最低を記録。DIが20台だったエリアが10エリア、大阪府は19.9と20を割り込んだ。

 20年7~9月期の見通しDIについては、賃貸仲介・売買仲介共に上向き。
 賃貸仲介は首都圏が33.1、近畿圏が34.5と、当期の実績DIを上回った。エリア別では、横ばいと予測した千葉県を除く13エリアで回復する見込み。ただ、見通しDIが40以上になったエリアはなく、全エリアが30台にとどまるなど、慎重な見方が広がっている。
 売買仲介の見通しDIは、首都圏が32.6、近畿圏が29.9と当期の実績DIよりも回復する見込み。エリア別では、北海道と静岡県で悪化が予想されるものの、兵庫県が横ばい、残りの11エリアは当期実績DIを上回った。ただ、見通しDIが40を超えたエリアはなく、慎重姿勢は継続しそうだ。

 不動産店からは、「問い合わせ自体が減少し、予算も厳しい方が多い」(賃貸:北海道室蘭市)、「申し込み後や契約後のキャンセルが複数あった」(売買:東京都足立区)、「価格の先安観が強くなり購入の決断が鈍り始めている」(売買:神奈川県横浜市)など、ネガティブなコメントが目立つ。このほか、「現地待ち合わせやオンライン希望が増加。来店後即日決定も増えた」(賃貸:東京都大田区)、「リモート接客が多く、十分成り立つことが分かった」(売買:東京都西東京市)、「テレワーク移行で通勤時間を主要条件にしない方がいた」(賃貸:東京都小金井市)と、業務や市場の変化を指摘する声も多かった。


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