不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト

奈良でZEB仕様の新研修施設を開設/大和ハ

「大和ハウスグループみらい価値共創センター」外観

 大和ハウス工業(株)は10月1日、研修施設「大和ハウスグループみらい価値共創センター」(奈良県奈良市)を開所する。

 敷地面積1万8,251.37平方メートル、延床面積1万7,048.07平方メートル。地上4階建て。2019年7月に同社奈良研修センター跡地および奈良工場の一部敷地において着工。同社創業者の石橋信夫氏ゆかりの地で、同氏が生誕100周年を迎える21年の開所を目指し、事業を進めてきた。従前研修施設の約3.5倍の延床面積。ホール、研修室(150人×2室、100人×1室、80人×2室)、宿泊施設(最大288人)等で構成する。

 従来にはない研修施設にしたいという考えから、基本計画およびデザインを、イノベーション施設設計実績が豊富な(株)小堀哲夫建築設計事務所に依頼。建物全体を「太陽」(溢れる熱気が共鳴するゾーン)、「風」(朗らかな対話と交流のゾーン)、「水」(深い思考で自分自身と向き合うゾーン)をテーマにゾーニングし、「県産材を用いた太陽のホール」「リフレッシュに使える風のパティオ」「建設地から出土した平城京の古井戸を活用した水のサロン」などを設けた。

 帯水層蓄熱システム「ATES(エーテス)」や太陽光発電(100kW)をはじめとする自然エネルギーの活用などの先進的な省エネ技術を採用し、同規模の一般建築と比較して、約63%のエネルギーを削減。「ZEB Ready」(基準一次エネルギー消費量から、50%以上の一次エネルギー消費量を削減した建築物)を実現した。「ATES」は、施設地下に熱源水槽を設け、年間を通して一定の温度に保たれている地下水から採熱し、空調エネルギーの負荷を低減する。施設における創エネ・省エネ効果や、「ATES」の稼働状況、在室率などを確認できるBEMSも導入している。
 その結果、3つの国際認証「LEED」(環境関連)、「SITES」(ランドスケープ関連)、「WELL」(健康関連)を取得する予定。また、国内認証である「JHEP」(生物多様性)や「BELS」(省エネ)も取得している。

 新施設オープンに伴い研修カリキュラムを拡充する。事業所長の候補者としてゼロからビジネスを生み出す研修や海外拠点の幹部およびその候補者がリーダーシップやマネジメントなどを学ぶ研修などを実施する予定。また、異業種企業や研究機関との研究会による社会課題解決への取り組み、地域の子供たちを中心とした未来を創る学習プログラムなどの探究学習なども行なっていく。

 28日開催の会見で同社上席執行役員の南川陽信氏は、「大和ハウスグループは創業100周年にあたる55年に売上高10兆円を目指しているが、それを達成するために人材育成は大きなテーマと考え、当施設の開発を進めてきた。また、さまざまな研究会や学習プログラム等の実施によって、地域の皆さんをはじめとしたさまざな人が集い、新たな価値を生み出す場所にしてきたい」と述べた。

奈良県産材を用いた「太陽のホール」


最新刊のお知らせ

2024年5月号

住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには? ご購読はこちら