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都市総合力、東京は就業環境改善でスコアアップ

 (一財)森記念財団 都市戦略研究所は24日、「世界の都市総合力ランキング(Global Power City Index)2021」を発表した。

 同ランキングは、世界の主要48都市を選定し、都市の力を表す「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」における70の指標に基づき評価している。今回が14回目。

 トップはロンドンで、スコアは1,644.1と、10年連続で首位を維持。2位がニューヨーク1,482.9、3位が東京1,411.0、4位がパリ1,350.8、5位がシンガポール1,232.8だった。上位5位の順位に変動はないが、ロンドンは世界的な人流抑制によって苦戦を強いられ、ニューヨークは居住分野でスコアが大きく下落し、これまでの勢いが止まった。一方で、就業環境が改善した東京、4分野で順位を上げたパリが追い上げをみせた。

 東京は、「働き方の柔軟性」が2位(前年調査41位)と大きく改善されたことにより、「居住」で9位(同12位)まで順位を上げ、「環境」を除く5分野でトップ10入りを果たした。一方、昨年から順位を落とした29位の「ICT環境の充実度」が、「居住」分野でさらに上位を目指すための課題であることが分かった。「経済」では4位を維持するも、3位の北京との差は広がり、5位の香港と6位のチューリッヒとのスコア差は僅差となっている。

 また、今回の調査では、コロナ禍によって複数の指標のスコアが大きく変動し、それらが各分野における順位や総合力ランキングの結果に影響を及ぼすこととなった。コロナ禍の影響を受けた指標を分析した。 

 東京やマドリードは総合スコアに対するプラスの影響が大きく、特に「総労働時間の短さ」や「働き方の柔軟性」のスコアの伸びが寄与している。また、東京の国際人流がプラスとなったのは、東京オリンピックによって「文化イベント開催件数」のスコアが大きく増加したことによる。一方、ロンドン、シンガポール、香港では、世界的な人流抑制によるマイナスの影響が他の都市と比べても極めて大きかった。これらの都市の調査対象空港では、航空便の多くを国際線が占めていたことで、「国内・国際線旅客数」のスコアが大きく減少。ニューヨークも総合スコアに対するマイナスの影響が大きいが、その要因は完全失業率にある。19年から20年にかけてアメリカ6都市の失業率が上がり、中でもニューヨークが最も高い上昇を見せたことが影響している。


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