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災害に強い住まいづくり等について議論

 (一社)プレハブ建築協会は15日、「ニューレジリエンス時代のすまい・まちづくりを考える〜災害に強いすまい・まちづくりをどう考えるか〜」をテーマに「すまい・まちづくりシンポジウム2021」を、オンラインで開催した。同協会では、「ニューレジリエンス」を、住まい・まちづくりに関して、さまざまな変化に対応し回復しながら高みを目指すことと定義している。

 芝浦工業大学建築学部長の秋元孝之氏は、旭化成ホームズ(株)との共同研究の成果等を踏まえ、住宅における感染症対策のレジリエンス性能を高めるためには、必要に応じた外気導入量の増加、間仕切り区画の変更といった“可変”性能の向上が求められるとした。「次世代の住宅には二重、三重の対策も可能となるような余裕が必要になる。DX技術の活用も重要だ」(秋元氏)とした。

 約40年住宅地の設計に携わっている(有)アーバンセクション(東京都渋谷区)の代表取締役の二瓶正史氏が、実務家の視点で近年の住宅地の変化について事例を交えながら説明。災害に対する取り組みとしては、地域特性に合った防災性能の確保、コミュニティ醸成に向けたエリアマネジメントの実施などの取り組みが増えているとした。二瓶氏は「住宅地の開発計画において、防災のみだけでなく、地球環境への配慮や地域コミュニティの形成などとも結び付けて考えていく必要がある」と話した。

 パネルディスカッションでは、横浜市立大学国際教養学部教授の齊藤広子氏がコーディネーターを務め、秋元氏、二瓶氏のほか、パナソニック ホームズ(株)街づくり事業開発部の上田 眞氏、(株)プレイスメイキング研究所代表取締役の温井達也氏がパネリストとして参加した。災害に強く、レジリエンス性の高い住宅地開発について、「高い防災性能を確保するためにも、地盤調査など対象エリアの入念な事前調査が必須だ」「地域とのつながりが重要となる。新たな住宅地の理解を得て、住民の暮らしをより良いものにするためにも、開発初期の段階から周辺地域の住民や行政と話し合いの場を設けることがポイント」「コミュニティがレジリエンス性を高める。住宅引き渡し後のエリアマネジメントなど住民へのサポートが重要だ」「サステナブルなまちの形成を想定し事業計画を進めるべきだ」などの意見が出た。


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