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ハザードマップ、障害者等に必要な情報を媒体別で整理

 国土交通省は11日、「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」(座長:田村圭子新潟大学危機管理本部危機管理室教授)の2回目となる会合を開催した。

 1回目の検討会を踏まえ、同検討会では、自身の水害リスクの認識や避難行動の判断等につながりづらい人、地図情報にアクセスしづらい障害を有する人を主な対象に設定。自身を取り巻く水害リスクに対してどういう行動が必要か、どの経路・タイミングで行動を実施するかという観点で、災害発生前に「分かり」やすく「伝わる」手段の提供について議論を進めていくとした。

 今回の会合では、今後ハザードマップでの提供を検討すべき情報について、印刷物、ウェブ(ICT活用)、その他(補助手段)の媒体別で整理した案を示した。

 印刷物の場合は、屋内確保可否を判断するためのフローチャート、福祉避難所の情報、マイ・タイムライン作成ツールの掲載などを挙げた。将来的には、降雨規模ごとの浸水深や浸水範囲を盛り込みたい考え。ウェブでは、印刷物の内容に加え、GPSによる現在地のハザード情報、音声による情報提供のほか、将来的な追加項目として3DやAR等を活用したリスク情報の提供、GISによる避難先等の選択指南などを提案。補助手段については、点字・音声による代表地点の想定最大浸水深、想定浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域、避難情報の入手先の案内を、点図では家屋倒壊等氾濫想定区域の範囲、浸水が深い範囲などを示した。

 委員からは「障害のあるすべての人が利用できることを念頭に新しいハザードマップの内容を考えていくべき。補助手段はあくまでも代替手段であることを明確にする」「すべての情報を詰め込めば分かりやすいとは限らない。既存の内容や見せ方を踏まえ、内容を絞るべき」「全国のハザードマップの示し方を標準化する」「印刷物からウェブへ誘導する際、誘導先のホームページがアクセシビリティの高いものであるべき」等の意見が挙がった。

 今後は、5月頃に1回目のワーキンググループ(WG)を開催。その後は、検討会とWGを交互に2回ずつ開催する予定。WGは、東京都大田区で、視覚障害者、特別支援学校の教員や生徒、健常者、民生委員等が参加し、既存の補助手段のほか、新規で開発した3Dマップ等(施行版)を体験してもらい、意見を聴取する。検討会では、WGの結果を踏まえ、ハザードマップ情報の内容の整理のほか、伝え方を検討していく。


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