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「暮らしの未来を考える」をテーマにシンポジウム

 (独)都市再生機構(UR都市機構)は27日、「令和4年度 URひと・まち・くらしシンポジウム」を対面とオンラインのハイブリッド形式で開催した。

 今回のテーマは、「都市の暮らしの歴史を学び未来を志向する」。開催にあたり、同機構副理事長の田中伸和氏が挨拶。「未来の住まいを模索する取り組みや、まちづくりの歴史を振り返るプログラムを用意している。今回のシンポジウムが、“人が輝くまちづくり”や新しい暮らし方について考えるきっかけになれば」と話した。

 基調講演では、東洋大学情報連携学部(INIAD)学部長・東京大学名誉教授の坂村 健氏が登壇。「未来を志向する」をテーマに、近未来住宅についての取り組みを披露した。同氏は同機構と連携し、「HaaS」の考えを取り入れた2030年の未来における住まい方のビジョンを検討している。IoT住宅の実現について、同氏は「メーカーの垣根を越えてさまざまな機器がAPIでつながることが重要」と言及。さらに、「宅配サービス、公共交通機関、近隣の医療機関や保険サービスなど、より多くのサービスとの連携がIoT住宅実現への近道」と述べた。

 引き続き、同機構副理事長の田中氏をモデレーターに、(株)設計組織ADH共同代表・法政大学名誉教授の渡辺真理氏、演出家・東京藝術大学大学院映像研究科教授の高山 明氏、女優の菊川 怜氏がパネルディスカッションを実施。“住”や“暮らし”にまつわるこれまでの取り組みを紹介した。
 渡辺氏は、住まいの歴史の変換として「団地とタワーマンションの対比」に象徴される社会の変化について、高山氏は、イラン北西部の都市・ダブリーズのバザールを例とした構造と制度に基づくコミュニティ形成の仕組みを披露。田中氏は、赤羽周辺のまちづくりと団地の今と昔、これからについての取り組みを紹介した。菊川氏は、団地のコミュニティについて「老若男女が住まう団地ではほど良い距離のコミュニティを形成しやすい。さらにコミュニティを促進させるために、ハード・ソフト両面からの支援も必要では」と話した。

 また、同機構が取り組む事業(賃貸住宅、都市再生、災害復興、海外展開支援)5事例の報告、スマート技術活用に向けた取り組みや交通マネジメントの重要性といった4事例の研究報告がなされた。
 同シンポジウムの内容は、11月2~15日まで、登録制によるアーカイブ配信を行なう。


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