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オフィスの期待利回り、東京や地方都市で低下傾向

 (一財)日本不動産研究所は25日、47回目の「不動産投資家調査」(2022年10月現在)の調査結果を公表した。

 アセットマネージャーやアレンジャー、ディベロッパーなど188社を調査対象とし、146社より回答を得た。

 オフィスビル(Aクラスビル)の期待利回りは、東京都では「丸の内、大手町」が前回比0.1ポイント低下の3.2%で、1999年の調査開始以来最も低い水準を更新した。「虎ノ門」3.5%、「六本木」3.6%、「港南」3.7%、「渋谷」3.6%も、前回比0.1ポイントの低下。主な政令指定都市では、「札幌」が5.0%で前回比0.2ポイント低下。「仙台」は5.2%、「名古屋」は4.5%、「京都」は4.9%、「大阪 御堂筋」は4.3%、「大阪 梅田」は4.1%、「広島」は5.4%、「福岡」は4.5%と、いずれも0.1ポイント低下した。世界的な金利上昇の局面にあるものの、国内では緩和的な金融政策が維持されていることや東京都心で注目度の高い大型の取引があったことなどが、期待利回りの低下に影響した。

 住宅(賃貸住宅1棟)の期待利回りは、「ワンルームタイプ」では東京・城南が前回比0.1ポイント低下し3.9%となり、同調査開始以来、初めて4%を下回った。ファミリータイプでは「札幌」5.2%、「仙台」5.2%、「横浜」4.5%、「大阪」4.5%、「福岡」4.8%と、いずれも前回比0.2ポイント低下するなど、多くの調査地区で期待利回りが低下した。

 商業店舗の期待利回りは、都心型高級専門店の期待利回りが「名古屋」は4.7%、「京都」は4.9%、「神戸」は5.0%で、いずれも前回比0.1ポイントの低下。郊外型ショッピングセンターも「東京」が5.2%、「札幌」が6.3%、「福岡」が5.9%で前回比0.1ポイント低下した。
 物流施設・倉庫(マルチテナント型)の期待利回りは、「東京(江東地区)」は4.0%で前回比横ばいであったが、「名古屋(名古屋港)」は4.5%、「大阪(大阪港)」は4.4%、「福岡(博多港)」は4.6%と、前回比0.1ポイントの低下に。
 ホテル(宿泊特化型)の期待利回りは、前回調査ではすべての調査地区で横ばいだったが、今回調査では、「東京」が4.5%、「札幌」が5.4%、「仙台」が5.6%、「京都」が5.0%、「福岡」が5.1%で、前回比0.1ポイント低下した。
 今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」という回答が95%と前回比1ポイント上昇した。

 併せて実施した、特別アンケート「不動産投資市場と最近のトピックス~コロナ禍、円安、地政学問題など~」(回答者数133社)の結果も公表。

 不動産投資市場に対して、最も影響を及ぼすと思うトピックについては、1位が「日銀による金融政策の変更」(59.2%)、次いで「米国FRBによる金融政策の引き締め」(14.6%)、「円安」(10.8%)と続いた。
 今後、不動産投融資を検討するに当たり、各トピックがどのような影響を及ぼすかについては、「ポジティブ」の割合が最も高かったのは「円安」(12.9%)となり、「ネガティブ」の割合が最も高かったのは「日銀による金融政策の変更」(69.7%)となった。
 今後の成長ファクターについては、1位が「市場参加者の多様化(海外勢や公的年金・SWF等のさらなる参入)」(186ポイント)、2位が「投資アセットの多様化」(152ポイント)に。今後のリスク要因については、1位が「金利の上昇」(281ポイント)、2位が「賃料の伸び悩み」(96ポイント)という結果となった。


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