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リアル・メタバース、会議の有効性を可視化

 三井デザインテック(株)はこのほど、メタバースを活用した新たな働き方の可能性を検証する実証実験を同社本社オフィスにて実施。メタバース会議の有効性を初めて可視化した。

 コロナ禍を経てリモートワークが定着する一方で、リアルオフィスへの出社を前提とした働き方に回帰する企業も出てきているが、リモートワークやリアル空間・バーチャル空間のメリットついての検証が十分にはなされていない。そこで、同社は、メタバースの構築技術を有する(株)PocketRD、脳波分析の(株)マクニカ、会話分析のハイラブル(株)と共に、バーチャル空間やリアル空間が持つ、働く場としてのメリットについて検証を行なった。

 三井デザインテック本社内の「SUNROOM」、およびメタバース内に再現した「SUNROOM」を用意。それぞれの会場で収束打ち合わせを10分、拡散打ち合わせ5分を同じ条件の下に実施し、会議の内容を脳波計測。会話分析の定量データと、参加者アンケートによる定性データから分析を行ない、検証した。

 その結果、メタバースは、リアル空間と比べて参加者の発言量が均等に近いことが、会話分析データから確認できた。このことから、メタバースでは、相手の表情が見えないため、顔色をうかがわずに率直な発言ができることが考えられるという。
 脳波計測データからも、メタバースはリアル空間と比較して会議への注意散漫度が低いことが分かった。メタバースでは外部の情報が遮断されるため、より議論の中身へ集中しやすい、と推測している。参加者アンケートでも、メタバースでは「画期的なアイディアがひらめいた」との回答割合が高かった。このことから、メタバースと「拡散打ち合わせ」とは相性が良いことが明らかとなった。
 リアル空間では、メタバースに比べて会議の参加者がお互いの間を読み、相手の表情を見ながら議論を進めるため、ファシリテーターが出現する可能性が高く、発話量に偏りが出やすいことが分かった。アンケート結果からは「効率的な議論ができた」割合がメタバースよりも高く、リアル空間は「収束打ち合わせ」と相性が良いと推測されたという。

 三井デザインテックは今回の実証実験の結果を踏まえ、リアル空間と相補的なメタバースの実現に向け、拡散打ち合わせに特化したメタバースの構築を進めており、リアル空間・メタバース・リモートを掛け合わせた新しい働き方を模索していく考え。


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