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賃貸住宅、物流施設への投資を推奨/ラサール

 ラサール不動産投資顧問(株)は8日、「2019年グローバル不動産投資戦略」中間レポートを発表、マスコミ向けの説明会を開催した。主要30ヵ国の不動産投資を展望、マクロ経済や世界の不動産マーケット状況を踏まえ、投資家へのメッセージもかねて発信している。年央時点の展望としてまとめた。

 グローバルでの投資展望については、新たな金融危機や世界的景気後退をベースシナリオとしてはいないものの、世界経済の低迷と不動産のクロスボーダー取引の急減をリスクとして指摘。不動産による安定インカムにより投資リターンを安定させる“低ベータ”戦略と、リターンが低水準にとどまるコア不動産投資より高いリターンを期待して特定のセクターの不動産に投資する“アルファ追及”戦略の双方を追求することを推奨している。

 地域別では、北米については、「貿易戦争や貿易摩擦の中心にいるが、アメリカ経済・マーケットを見ると安定している」(アジア太平洋地域投資戦略 リサーチ責任者・エリーシャ・セ氏)と述べ、下半期も上半期と同様の市場動向になると予想。米国・カナダの不動産市場に大きな変化の予兆はなく、安定的な投資環境が継続するとした。一方で米中間の対立関係は依然として変わらないため、楽観的な見方は限定的であるとしたののの、低金利、低インフレ、緩やかな経済成長により、ゴルディロックス(適温)な状況が継続する、と分析している。

 アジア太平洋地域は、経済成長の鈍化が進み、資本市場のボラティリティが上昇すると予測しているが、深刻な景気後退は予測しておらず、景気後退が起こったとしても、不動産セクターに与える影響は、世界金融危機の時ほど深刻ではない、とした。

 日本については、緩やかな景気減速をベースシナリオとしながらも、「マーケットは健全に推移。ボラティリティが徐々に上がる兆候は見られるが、緩やかな景気減速が続く」(日本・韓国投資戦略・リサーチ部門の佐久間 誠氏)とコメント。10月に予定されている消費税増税の影響は限定的、かつ短期的とした。

 オフィス市場は、景況感の悪化により、東京ではグレードAの賃料上昇が減速し、18~20年の新規供給により賃料成長が鈍化すると予測。一方で主要都市への人口流入が活発なことから、都心部や地方大都市の賃貸住宅では賃料成長が期待できる、とした。

 その他、テナント需要の高いドラッグストア、スーパーマーケットといった生活必需品主体型の商業施設、物流施設は、底堅い内需により安定インカムが見込めるとして推奨。ホテルは、新規供給は増加しているが、需給のミスマッチがあるため、立地とホテルセグメントを厳選した投資が必要、とコメントした。


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