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社整審、住宅ストック流通活性化へ向け議論

 国土交通省は23日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕・東京工業大学環境・社会理工学院長)の49回目となる会合を開催。「住生活基本計画(全国計画)」見直しにあたっての「住宅ストック」に係る論点を示した。

 会合では、住宅ストックに係る各種データが示された。住宅の存続期間に関するデータとして、これまでの「除却住宅の平均築後年数」に加え「新設住宅の平均存続年数(予測値)」が示され、最新データでは前者の38.2年(平成25~30年に除却)に対し、後者は53.7年(平成30年新築)という結果となった。また、全住宅流通量(新築着工+既存流通)に対する既存住宅流通シェアの算出にあたり、「賃貸住宅」の新設住宅を除外したところ、流通シェアは22.9%(賃貸住宅を含めると14.5%、平成30年)まで高まったことも明らかにした。

 これらのデータを踏まえた住生活基本計画見直しの論点については、(1)安心R住宅、インスペクション、既存住宅売買瑕疵保険制度といったこれまでの支援策等の取り組みの再評価と新たな方策、(2)新規供給から改修・流通・除却まで一貫した住宅ストック管理、世帯数減少に対応した住宅供給の在り方、(3)単身世帯が増加する中で「住宅の広さ」をどうとらえるべきか、(4)子育て・住環境・健康寿命・福祉介護との連携など令和に相応しい新しい住宅のかたちや性能、などを挙げた。

 委員からは、既存住宅流通活性化に向け、分譲マンションの管理情報開示や修繕積立金に関するルール作りの必要性、現在固定資産税特例の解除だけにとどまっている特定空き家の除却促進策について、さらに厳しい罰則の必要性やきちんと解体や利活用する場合についてのみ解体費等を支援するべきといった意見が出された。
 また、既存住宅の流通に際して、インスペクション、フラット35利用に係る建物検査、既存住宅売買瑕疵保険に係る検査など類似した複数の建物検査を強いられ、事業者や購入者の負担になっていることからこれらを合理化できないかといった意見や、既存マンションのインスペクションでは共用部の検査がほとんどできておらず普及していないため、管理組合に「数年ごとに共用部のインスペクションを義務化し、その最新データをもってインスペクション結果とする」といった提案がなされた。

 同部会は、来年1月から「居住者の視点」からの見直し議論に入る。


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