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住宅団地再生に必要な制度等を専門家が指摘

 国土交通省は5日、第6回「住宅団地再生」連絡会議を開催。有識者による講演等を行なった。

 元国土交通省住宅局長、前内閣総理大臣補佐官(地方創生等担当)で、東京大学特任教授の和泉洋人氏は、地域再生制度等を説明。中でも2020年1月施行の改正地域再生法によって創設した、地域住宅団地再生事業は、市町村が区域を定めて、多様な主体と連携して住宅団地再生のための総合的・一体的な事業計画を作成することで、住宅団地再生に係る各種行政手続をワンストップ化し、スピーディに住宅団地再生を実現するものだが、「国土交通省への調査によれば、事業計画が策定されたケースは、全国でまだ1団地しかない」と指摘。「団地再生を加速させるためには、さらなる制度改革が必要ではないかと、来年の国会への提出を視野に、改正地域再生法の検討の必要性について国土交通省と話している」(和泉氏)。

 東京大学高齢社会総合研究機構客員研究員の辻 哲夫氏は、同機構まちづくり標準化研究会で検討を進めている、民間認証事業について発表した。住宅団地の地域再生事業を推進する場合のマネジメント基準を設定し、それに基づき行なわれる事業(組織)を認証するもの。認証を受けた事業は、目標・手順・実現可能性に合理性があるため、地域再生法の適用等行政支援に乗せやすいほか、居住希望者が増え、民間事業者にも投資先としての魅力があることから好循環に入りやすいなどのメリットがあるとしている。「事業計画については、地域住民が主体となってコンソーシアムを組成し進めることが重要。具体的な基準作りは、先進的な団地再生を進めている『上郷ネオポリス』の団地再生メンバーの協力を得て、検討している」と話した。

 続いて行われた事例発表では、長野県伊那市が同市で進めているMaaSやドローンなど新たなデジタル技術を活用したまちづくりの取り組みを紹介したほか、(独)都市再生機構が遊休資産を活用したテレワーク機能導入に係る実証実験の結果について説明した。


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