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木材の“地産地消”へ、奥多摩町の森林を活用/野村不

 野村不動産ホールディングス(株)は28日、東京都・奥多摩町で実施する生物多様性・脱炭素の取り組みについて、オンラインで説明を行なった。

 同社グループにとって主要な事業エリアである「東京」で、地産地消の取り組みを推進する。
 東京都西多摩郡奥多摩町は、東京都の面積(島嶼部を除く)の約1割を占め、そのうちの94%を森林が占めている。同町が保有する約130haの森林について、同社グループが30年間にわたり保有する地上権設定契約を9月に締結。この森の立木を活用し、木材サプライチェーンを構築し、地産地消を実現し、自然との共生を目指す。

 同社はこの森の名称を「つなぐ森」とし、同社100%出資の「森をつなぐ合同会社」を設立。同社が東京都森林組合員として、管理を同森林組合に委託し、森林経営計画に基づいた管理を遂行する。

 つなぐ森では、森林の成長量の範囲で伐採を進め、製材し、建築資材等として活用する。まずは、同社グループが開発を進めている「芝浦プロジェクト」(東京都港区)にグループ本社を移転するにあたり開始したトライアルオフィスの床にて木材を活用する予定。その後同社グループの事務所や店舗等で活用し、住宅やオフィスに活用を進めていく。

 植林等を行なう過程では、一部に広葉樹の苗木を植え、樹齢や樹種の違いから異なる高さの樹木で構成される複層林とすることを目指す。

 こうした取り組みにより伐採適齢期にあるにもかかわらず未利用となっている国産材を伐り出し、新たな樹木の植林・管理等により循環する森づくりを進め、森林サイクルの再構築を進め、地球環境保全、土砂災害防止、水源涵養などに貢献する。さらに生物多様性を重視した管理を進め、生物多様性にも貢献する。
 なお、「つなぐ森」の管理を適切に行っていくことで、30年間で 森林吸収量約 16,600t-CO2、(森林放置時の約1.4倍)を見込んでいるという。

 説明を行なった野村不動産ホールディングス(株)執行役員サステナビリティ推進担当 兼コーポレートコミュニケーション部、サステナビリティ推進部担当・中村 篤司氏は、「日本は国土の約7割が森林という森林大国であるにもかかわらず、世界有数の木材輸入国で、その自給率は約4割に過ぎない。この課題の解決に向けて当社にできることをしていく」と述べた。


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