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日管協短観、平均居住期間の差は世帯間で約2年

 (公財)日本賃貸住宅管理協会は9日、2021年度(21年4月~22年3月)の賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」を発表した。今回で26回目。同協会会員へのアンケートを基に業況判断指数(DI値)を算出している。回答社数は504社。なお、25回までは半期(年2回)ごとの調査を実施していたが、今回より1年ごとの調査へ変更した。

 同期のDI値は、「成約件数」が6.5(20年度下期調査8.6)。プラスに振れているものの、大きく上昇した20年度下期からは下降した。「成約賃料」は、1R~1DKがマイナス5.8(同3.3)で下降、1LDK~2LDKが10.3(同8.7)、2LDK~が10.0(同3.8)と上昇。「物件の仕入れ」については、新築戸数が3.9(同10.3)と下降しており、「入居希望者からの条件交渉」では礼金・フリーレントが21.8(同17.0)、設備設置・交換・改修が10.2(同3.5)と上昇した。

 「成約件数」は、全国では「増加」比率と「変化なし」比率がそれぞれ4割弱。エリア別にみても、「増加」「変化なし」がほぼ同じ比率で高かった。
 「成約賃料」は、全国では「変化なし」比率が約5割。首都圏において、1R~1DKの「減少」が4割以上に対し、1LDK以上では「増加」が3割以上と高くなっている。単身や夫婦のみなど少人数世帯の増加、給与収入の減少、在宅勤務の定着などにより、広めで賃料が低い物件へのニーズが増加したと思われると考察。

 「管理物件の仕入れ」については、全国では「増加」比率が4割以上。関西圏では、既存戸数の「増加」比率が高く、6割以上となった。
 「新規管理物件受託時の条件交渉」は、委託管理では「入居者募集・仲介」(75.5%)と最も高く、「管理報酬」(68.2%)、「建物管理対応」(53.8%)、「入居者対応」(44.6%)と続いた。従前の管理業務への不満、経営悪化による費用削減などが管理会社変更の契機となるケースが少なくないと分析。サブリースについては、「借上料率」(86.1%)が突出して高い。

 「管理報酬」のボリュームゾーンは、全国では「5%」(41.0%)。「借上料率」では「85~89%」(35.0%)だった。
 「入居率」を見ると、全国で委託管理物件は93.6%、サブリース物件では98.7%。新築戸数や人口減少傾向ではあるものの、世帯数の増加など絶対数としての賃貸ニーズは増加。既存物件内での移動が中心であるため、入居率は20年上期から堅調に推移している。

 「平均居住期間」については、実年数での回答方式調査を実施。全国では、単身の平均が3年3ヵ月、ファミリーの平均は5年1ヵ月と、世帯間で約2年の差が出ることが分かった。
 今回から新設した「オーナーからの更新時の条件交渉」では、全国で賃料は「増加」(13.2%)が高く、更新料は「減少」(9.5%)のほうが高いという結果に。管理受託において、貸し主による収入増の希望を反映。借地借家法32条の要件や、契約変更と賃借人の同意という問題により実現は困難であるが、一定規模の管理会社に対するノウハウ・交渉力に期待する面も想定されると分析した。


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