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海外投資家の日本不動産投資は依然活発

 JLLは19日、記者説明会を開催。グローバル・日本におけるオフィストレンドや、2023年の不動産市場動向などについて解説した。

 代表取締役の河西利信氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大により観光や出張といった需要が消滅し、ホテルセクターが大きな影響を受けたが、オフィスセクターにおける影響も非常に大きかった」とコメント。コロナ禍には“企業はオフィスを設置し、従業員はそこで働くと”いう概念を覆す状況に突入。企業がオフィスへの出勤を制限し在宅勤務を指示した結果、在宅で仕事ができるということが世界中で認識された結果、一時期はオフィス不要論も叫ばれ、マーケットでは貸し床を返却する動きも一部に見られた。

 しかし「その後、コラボレーションやコミュニケーションが実現できる場、人と人との会話があり自宅では得られない経験ができる場としてのオフィスへのニーズが高まった。結果、オフィスをそういう場にしなければならないという認識が、企業、そして投資家にも浸透している」と語った。

 2022年10月現在の従業員のオフィスへの帰還率を見ると、東京は83%。これはグローバルと比較すると非常に高い数値とみなされる。総じてアジアにおけるオフィスへの帰還率割合が高く、欧州や北米はやや低い傾向が見られる。22年通年の日本における不動産セクター別売買動向をみると、20年に32%まで落ち込んだオフィスの割合が21年、22年ともに47%まで回復。グローバルでは賃貸住宅セクターが伸びているが、日本ではオフィスやホテルのへの投資の回復が顕著だという。

 続いて、23年の不動産市場について、同社リサーチ事業部シニアディレクターの大東雄人氏が説明。日本銀行の政策変更に関連して、海外の投資家を含めて多数の問い合わせを受けているとした上で、「日本の不動産市場がグローバルの投資家から見ると魅力的であることに変わりはない」と指摘。不動産投資総額に占める海外投資家の投資割合も20年34%、21年24%、22年25%とそれ以前と比較すると高い割合を示しており、「調達金利が不動産の利回りより高いエリアも出てきており、スプレッドがとれるという面で海外投資家にとって日本のマーケットは魅力的と捉えている」と説明した。

 オフィス賃貸市場については、22年第4四半期における東京Aグレードの空室率は3.7%(前期比0.4%低下)、共益費込みの賃料は3万4,660円(同1.0%低下)。大東氏は、「空室は改善しており、賃料の低下によりテナントの流入も見られる。23年、25年に大型の供給が予定されているため空室率は緩やかに上昇、賃料も下落が継続すると推測しているが、賃料下落の加速のピークは23年中に迎えるとみている」とコメントした。


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