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純木造8階建て新本社ビルの構造見学会/AQ

建設が進む「8階建て純木造ビル」

 (株)AQ Groupは25日、建築中の「8階建て純木造ビル」(さいたま市西区)のプレス向け構造見学会を開いた。

 JR他「大宮」駅まで約2kmに立地。敷地面積は約8,944平方メートルで、地上8階建て、高さ30.95mで、延床面積は約6,076平方メートル。竣工後は同社の本社および展示場等として使用される。竣工は2024年3月の予定。

 中大規模の木造建築は、強固な構造にするために特注金物を使用しなければならず建築費が高くなるなどの点がネックとなり、注目度は高いが普及が進んでいない。そこで同社では、特注金物を使用せず、一般流通材を使用する純木造の中高層ビルの開発に取り組んでいる。毎年、数億円の開発費を計上し、木造建築の技術向上に投資。木造による中層建築やその実大耐震実験などに取り組んできた。22年には5階建ての純木造ビルにおいて世界で初めて耐震実験を実施するなど、データを積み上げてきている。

 同ビルはその研究成果の一つ。免震装置や特注金物に頼らず、一般に流通する住宅用のプレカット材の木組みと汎用品の金物補強によって耐震構造を実現する日本初の純木造8階建て建築だという。耐火については、主要構造部に強化石膏ボードによる耐火被覆を実施し、1-4階は2時間耐火・5-8階は1時間耐火基準をクリアした。

 同社代表取締役社長の宮沢俊哉氏は、「関東大震災、伊勢湾台風といった過去の災害を通じて、大型建築において『木造禁止』のような偏見が生まれ、木造の校舎や駅舎が鉄骨造や鉄筋コンクリート造に建て替わった。しかし、近年は住まいや教育の場のとしての木造建築に注目が集まっている。日本の伝統技術を守るためにも、この純木造8階建てビルをフラッグシップとして、国内での木造ビル普及に貢献していきたい」などと語った。

構造部分。住宅用のプレカット材を組み合わせ、特注金物等特別な建材は使っていない
「日本の伝統技術を守るためにも、純木造のビルの事例が必要になる」などと語った宮沢社長


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