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「ロボフレ」な環境へ、取り組みの成果報告

「令和5年度 ロボフレ事業報告会」の様子
登壇した森トラスト社長室戦略本部デジタルデザイン室部長代理の朝比奈 泰裕氏

 経済産業省と(一社)ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)は5日、東京都港区のNECネッツエスアイ本社ビルで「令和5年度 ロボフレ事業報告会」を実施。森トラスト(株)や日鉄興和不動産(株)など5社2団体(※)が、今年度の取り組みを発表した。

 「ロボットフレンドリー(ロボフレ)」は、ロボットの普及や導入がしやすい環境を指す言葉。RFAはその実現支援のため、2022年8月に設立された。

 森トラストは、複合用途ビル「仙台トラストタワー」(地上37階建て、高さ約180m)で行なった実証実験について報告した。エレベーターや自動ドア、複数のセキュリティとロボットが連携し、1台がマルチに働くことでどういった効果を挙げることができるか、実際の動画を用いて説明。ホテル1階を清掃したロボットがエレベーターに乗り込み、26階に移動してフロントを掃除する様子や、1階の商業施設から5~10階のオフィスまでコーヒーをデリバリーしたロボットが、そのままホテル客室にアメニティを届ける様子などを紹介した。

 コーヒーデリバリーの実験時に実施した利用者アンケートでは、「また利用したいと思うか」の問いに対して「値段などによっては利用したい」「ぜひ利用したい」が合わせて91%に上った。「払ってもよい追加料金」については、「+50円」が50%、「+100円」が27%、「追加料金なし」が18%、「+150円」が4%となり、追加料金を支払うことにそれほど抵抗がない実態が浮かび上がった。また、ロボットに求める他のサービスの調査では、配達物やランチ、病院での診察後に処方される薬を届けてほしいという声が多かった。

 日鉄興和不動産は、大規模マンションでのロボットを使った配達の事例を紹介した。

 RFA代表理事の脇谷 勉氏は「あらゆるタイプの施設においてロボットの導入を実現するのがゴール。さまざまなユースケースを世間に適用してもらった上でフィードバックし、よりスケーリング(プロジェクトの規模拡大)が早くなるように活動していく。社会がロボットに寄り添っていかなくてはいけないということを知ってもらうためのPRも積極的に行なっていきたい」と話した。

(※)経済産業省、ALSOK綜合警備保障(株)、NECネッツエスアイ(株)、森トラスト(株)、大和ライフネクスト(株)、日鉄興和不動産(株)、(一社)ロボットフレンドリー施設推進機構

「仙台トラストタワー」で森トラストが行なった実証実験(発表資料より)


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