不動産ニュース / IT・情報サービス

2024/3/1

大規模Mでの配達、ロボット活用で実証実験

実証実験で、マンション玄関に設置されたロボットにフードを置く配達員
ロボットが運んできたフードを受け取る住民

 日鉄興和不動産(株)、ソフトバンクロボティクス(株)、(株)日建設計、(株)日建ハウジングシステムの4社は2月28日、賃貸マンション「リビオメゾン南砂町」(東京都江東区)で「ラストワンマイル配達におけるロボット活用実証実験」を行なった。経済産業省の令和5年度「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の一環。

 ドライバーにも労働時間の上限が課され、人手不足などで今までのような輸送ができなくなることが見込まれる「物流の2024年問題」への対策が求められる中、ロボットの有用性を確かめるものとして実施された。

 特に高セキュリティーのタワーマンションで配達の負担が大きいことに着目。大手物流事業者の協力を得て行なった調査によると、「建物への車両侵入から退出まで」を一度の配達としたときに、約4時間15分かかっていたという。そのうち34%がエレベーターの待ち時間や移動によるものだった。
 このことから、今回の実証実験では、例えば配達員がマンションの1階で荷物を全てロボットに託し、配達をロボットが担うことができれば大幅な効率化と人員削減が図れるとした。

 この日は、(株)出前館の配達員が、注文されたフードをマンション玄関に設置されたロボットに置き、ロボットがマンション内を走行して住戸に配達、住民が受け取るという流れで、集合住宅の入り口から各住戸までの荷物配達(いわゆる「ラストワンマイル」)におけるロボットの有用性を検証した。

 本格的な社会実装に向けては、住民の理解、ロボットがスムーズに走行できる「ロボットフレンドリー」なマンション設計、事業性の担保など課題は多い。日鉄興和不動産住宅事業本部の鈴木英太氏は、これからの展望について「今回は配達にフォーカスしたが、ごみ出しをロボットに任せたり、コンシェルジュ機能をロボットに対応させたり、可能性はある。それがマンション自体の差別化になるのではないか」と話した。

 実験の結果は公表し、関係各社が活用できるようにすることで今後の発展につなげていく。

集合住宅における今後のロボット活用の展望を語った鈴木英太氏

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タワーマンション

超高層の集合住宅をいう。そのかたちが塔(タワー)に似ていることから名づけられたが、タワーマンションは和製英語である。

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