記者の目 / 開発・分譲

2012/3/13

自由度アップ!キッチンも動かせるマンション

長谷工が好評の「Be-Liv」の進化形「Be-Next」をリリース

 (株)長谷工コーポレーションが次世代マンション企画として、「Be-Next」を開発、採用第1号物件として、「ブランシエラ検見川浜 マイム」(千葉市美浜区、総戸数65戸)の販売を開始した。  「一次取得者ニーズに合わせ、ローコストで良質な商品提供を行なうための企画である『Be-Liv』の進化形」(同社都市開発部門住宅開発事業部事業部長・大岡修平氏)という「Be-Next」。「1.建物の基本性能の充実、2.シンプル(規格化)とフレキシブル(可変性)の両立、3.“環境+防災”性能の確保」の3つのコンセプトを打ち出しているが、果たして「Be-Next」とは具体的にはどのような企画なのか。以下に紹介していこう。

「ブランシエラ検見川浜 マイム」完成予想外観パース
「ブランシエラ検見川浜 マイム」完成予想外観パース
キッチンの移動が可能となったことで、リビングも横長・縦長、どちらも可能に
キッチンの移動が可能となったことで、リビングも横長・縦長、どちらも可能に
ベランダから撮影。従来の梁と比較して遙かにでっぱりが少ない「扁平梁」。合わせて2200mmのハイサッシを採用することで、明るく開放感のある空間創出に成功した
ベランダから撮影。従来の梁と比較して遙かにでっぱりが少ない「扁平梁」。合わせて2200mmのハイサッシを採用することで、明るく開放感のある空間創出に成功した
アウトフレーム工法の採用により、柱や梁の凹凸が少ない、すっきりした住空間を創出
アウトフレーム工法の採用により、柱や梁の凹凸が少ない、すっきりした住空間を創出
バルコニーは風を通す“スダレ”部分と光を透過する“ガラス”部分の両方を設置。「夜は外に漏れる光で美しい外観が演出される」(堀井氏)と二次的効果も
バルコニーは風を通す“スダレ”部分と光を透過する“ガラス”部分の両方を設置。「夜は外に漏れる光で美しい外観が演出される」(堀井氏)と二次的効果も
採光・通風確保のための「窓付き玄関」を導入。上部窓を開けると、風が通るが、解放部は人の視線より上となるためセキュリティ・プライバシーは保たれるという優れもの
採光・通風確保のための「窓付き玄関」を導入。上部窓を開けると、風が通るが、解放部は人の視線より上となるためセキュリティ・プライバシーは保たれるという優れもの
廊下側窓には通風を確保しつつプライバシーは守られる特殊なサッシ「ブリーシア」を採用。開けると風は入るがサッシの解放幅を制限することで、セキュリティ性能を確保、プライバシーも守る。なお全面に網が張られており、防虫効果もあるそう
廊下側窓には通風を確保しつつプライバシーは守られる特殊なサッシ「ブリーシア」を採用。開けると風は入るがサッシの解放幅を制限することで、セキュリティ性能を確保、プライバシーも守る。なお全面に網が張られており、防虫効果もあるそう

技術開発により、キッチンレイアウト変更を可能に!

 同社が掲げる3つのコンセプトに従って説明していく。
 まず、「1.建物の基本性能の充実」。「Be-Next」では、アウトフレーム工法の採用で、梁や柱型が出ない、無駄のないすっきりした住空間を実現する。
 「ハイサッシを採用しても、バルコニーの梁に遮られては意味がない」(同社エンジニアリング事業部第4設計室室長・堀井規夫氏)ことから、バルコニー側開口部に扁平梁を導入。合わせて連窓ハイサッシ(2,200mm)を設けたことで、採光性が高く、明るく開放感のある住空間を実現した。

 そして「2.シンプル(規格化)とフレキシブル(可変性)の両立」。「『Be-Liv』の発想にも『シンプル』はあったが、これに可変性をプラスしたのが『Be-Next』」(堀井氏)とのこと。ここでの大きな特徴は、キッチンレイアウトの変更を可能にしたことによる、間取り多様化の実現だ。「強度の高いプレキャストコンクリートと、現場で打つコンクリートの併用という技術導入により、戸ごとに、排水のためのスラブ傾斜を自由につけられるようになった」(同氏)ことで、これまで変更のきかなかったキッチンの位置の変更が可能となった。

 キッチンが動かせると、リビングの配置に変化が出てくる。開口部に広く接したリビングと、いわゆる縦型のリビングのどちらも可能となり、結果、中住戸で50通りものプランバリエーションの提供を実現した。

 なお、ドアの取っ手、下足入れ、収納、設備機器など、購入者の希望に応えるセレクトオプション「E-Label(えらべる)」を引き続き採用。階層・位置から細かな設備まで、自分の希望どおりの部屋づくりができる。


「パッシブデザイン」採用でエアコンに頼らない空間を実現

 そして「3.“環境+防災”性能の確保」。現在環境対応、防災対策は、新築マンションにおいてブームのような状態で、太陽光発電システム搭載、蓄電システム導入、備蓄倉庫設置…等々がPRポイントである物件も多い。

 しかし本物件では、現段階では設備への投資コストが、その後得られるメリットで回収できないとの判断から、積極的な設備導入は行なわず、「パッシブデザイン」(自然をできるだけ取り入れ、快適な環境を作り出すデザイン)を採用。「原点に立ち返り、本質に近いところでの工夫」(同氏)により環境性能を向上させた。

 採光と通風を確保するために、玄関ホールには「窓付き玄関」、廊下側窓にサッシ「ブリーシア」、そしてバルコニーに「スダレ&ガラス手摺り」(いずれも写真参照)を設置。セキュリティやプライバシーに配慮しながらも、光と風を住まいに取り入れることを可能とした。

 もちろん現段階で効果が認められる設備などについては積極的に導入。エコジョーズ(潜熱回収型給湯器)、LED電球対応ダウンライト、電気自動車用充電設備、節水型便器などは標準で設備した。

 防災面では、同社が推進してきた非常用飲料水生成システム、非常用マンホールトイレ、かまどスツールの3点セットを設置したほか、家具の転倒防止用下地施工をオプションで用意している。


第1号物件は83~90平方メートル。120万~130万円/坪

 ちなみに「ブランシエラ検見川浜 マイム」はJR京葉線「検見川浜」徒歩15分に立地。敷地面積429.28平方メートル、鉄筋コンクリート造11階建て。専有面積は83.16~90.50平方メートル、価格は2,600万円台から3,800万円台。事前反響も大きく、資料請求は約150件、初の事前内覧会には土日で32~33組の予約が入っているというから、上々の滑り出しといえよう。

 同社では、3コンセプトを提案する新企画「Be-Next」を、今後同社が設計・施工する分譲マンションへ積極的に採用・提案を進めていくという。

 大震災を経て、さらに信頼が高まっているマンション。しかし販売競争は激しくなり、各社の打ち出す特徴も多種多様となっている。
 同社の提案した企画は、奇をてらったものではなく、むしろごくごくありきたりの要望を実現化したものといえよう。

 3月下旬から第一期(30戸程度)の登録受付を開始する予定とのこと。反響に期待したい。(NO)

***

【関連ニュース】
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