







テキサスからカリフォルニアへ引っ越した若いカップルが家賃の高さに仰天。しかしやがてスマートな解決策を見出してゆく話を不動産ブロッグ Zillowで見つけた。
レポーターのジェミィによると、ご主人がカリフォルニア大学サンタバーバラ校に教授職を得た時、「カリフォルニア」ならばと、即、受け入れたそうだ。ちなみに「カリフォルニアドリーム」などとしばしば引用されるが、陽光溢れる西海岸に住むのはアメリカ人誰もがあこがれる暮らし方だ。
ところが現実は過酷で、引っ越したはいいがカリフォルニア州でもとりわけ海岸沿いのサンタパーバラ界隈の賃貸物件は思ったよりずっと高額。当初の予算は収入の30%以内である15万円だったが、かなり超過した月22万1,450円(1$103円として換算)の2BRアパートにとりあえず落ち着いた。
住まいを縮小し、仕事以外の時間は戸外で
故郷テキサスでは月10万円の家賃だったが、サンタバーバラでは同じ広さのアパートで2倍以上に跳ね上がった。家賃が高くなった分、収入が倍に増えたわけでもないし、アパートの内装が格段に素晴らしいわけでもない。
しかし、カリフォルニアの潮風や海は素晴らしく、自転車に乗ったりハイキング、サーフィンなど一年中楽しめることを発見。1年余りカリフォルニア的なライフスタイルを満喫した頃には、カップルは2BRでなくもっと小さい、例えば1BRアパートでも大丈夫、住める!と思い決めた。
仕事以外の時間はほとんど戸外で過ごすようになったので、住まいを縮小して家賃が浮いた分、将来の住宅取得のために節約出来る。
二人は将来、中西部に移り住んで家族や友達を招けるような大きな家を購入したいと考えている(by Jamie Bardwell-Branson 07/26/2016)。
周辺施設や共有スペースで暮らしを楽しむ
人が集まる大都市や人気のある地域は、土地の価格が高く家賃も高額である。ニューヨーク、ロスアンゼルス、サンフランシスコしかり。
しかしシカゴを例にとると、住まいのスペースが小さくても、かわりに湖岸や公園の近くで共有部分が充実しているアパートを探すという手がある。屋上に居住者が憩える共同スペースが設置してあったり、ジムやプールを備えたアパート等もある。
例えば、シカゴ市都心に近く湖岸に沿った一等地リンカーンパーク界隈は、一戸建ては言うに及ばずコンドミニアムの一室でさえ購入するには1億円では手が届かない。賃貸アパートも高額だ。しかし、素晴らしい立地なのである。
目の前には公園が広がり、その向こうはミシガン湖。湖岸ではビーチバレーボールを楽しむグループの歓声が聞こえる。自転車道も設けられ、ジョギングや犬の散歩で賑わう。公共のゴルフ場はハーフラウンド回るのに千円以下の料金。テニスコートは無料だしサッカー場や野球グラウンドもある。
誕生日は、湖を眺めながら屋上でBBQパーティー
若い友人のエミィは両親の援助でリンカーンパークのコンドミニアムに住んでいる。先日の誕生日にはBBQパーティを催し、筆者も招待を受けた。
入り口のセキュリティを通過してエレベーターで直接屋上へ向かう。ミシガン湖をはるかに見下ろせる屋上には居住者のためにテーブルや椅子セットが何組も置かれている。共同のBBQグリルでは良い匂いがすでに立ち込めていた。
30人ほどが集まっただろうか。ビールやシシカバブやサラダが行き渡りおしゃべりで盛り上がった頃、大きなケーキが運ばれ、全員でHappy Birthday to you,,,の歌を歌い、エミィがロウソクを吹き消す。
彼女の小さな部屋では数人しか入れないが、共同スペースがあってこそ可能なパーティーだった。
お金はかかるが、都会でしか得られない生活をエンジョイ!
郊外は都心より安価で一戸建て住宅も賃貸アパートも得られるし、大勢の人を招くことも出来よう。
一方、都心では同価格で狭いスペースしか得られないが、カリフォルニア州サンタバーバラに引っ越したジェミィやリンカーンパークに住むエミィなど、その地域でしか得られない暮らしを楽しんでいる様子だ。
もう一組、素晴らしい仕事を妻が得たために慌ただしく家を売り、シカゴからフロリダ州西海岸セント・ピーターズバーグ市に移った友人夫妻がいる。現地では予想に反して不動産の住宅価格はひどく高く、しかも気に入った家が見つからない。シカゴの広い住まい(6BR!の豪邸)は売ってしまったので、沢山の荷物は貸し倉庫にいったん預け、当分賃貸アパート暮らしだ。
しかし海へは歩いて行くことができ、1年中暖かいフロリダなので、散歩したり戸外で過ごす時間が多く、小さなアパートながら腰を据えてここでの暮しを楽しみつつ住宅を見つける、と先日便りがあった。
Akemi Cohn
jackemi@rcn.com
www.akemistudio.com
www.akeminakanocohn.blogspot.com

コーン 明美
横浜生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業。1985年米国へ留学。ルイス・アンド・クラーク・カレッジで美術史・比較文化社会学を学ぶ。
89年クランブルック・アカデミー・オブ・アート(ミシガン州)にてファイバーアート修士課程修了。
Evanston Art Center専任講師およびアーティストとして活躍中。日米で展覧会や受注制作を行なっている。
アメリカの大衆文化と移民問題に特に関心が深い。音楽家の夫と共にシカゴなどでアパート経営もしている。
シカゴ市在住。