三鬼商事(株)は9日、2003年4月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区(都心5区)の2003年4月末時点の平均空室率は、対前月比0.22ポイント増の8.40%。4月は自社ビル建設に伴う解約の動きが落ち着く一方で、大規模なオフィスビル供給の影響から、大型既存ビル数棟からの大型募集が始まった。移転動向としては、金融機関や外資系企業の移転や大企業の統廃合、経費削減に伴う借り換えなどの動きがみられた。また、築年数の経った大型ビルでは、建て替えやリニューアルの動きが目立ち、募集面積急増に歯止めをかける要因となっている。
なお、港区における4月末時点の平均空室率は、対前年末比0.96ポイント増の10.01%。4月は「汐留シオサイト」「品川グランドコモンズ」「六本木ヒルズ」で大規模ビルがオープン。同区の今年のオフィスビル新規供給は、19棟で延べ床面積約37万2,000坪と、都心5区でもっとも多い結果となった。自社・関連会社使用のビルも14棟で同約17万2,000坪で過去最高水準の大型供給であった。新規供給大規模ビル等の募集状況については大企業の統合や集約が堅調なため、おおむね順調に推移している。大型既存ビルについては、空室の増加はみられるもののオフィス見直しの潜在需要は多く、好条件の空室については引き合いが増えている。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年4月末時点の平均空室率は、対前月比0.07ポイント減の10.90%。同月は、新築ビル、既存ビルともに空室面積が減少したため、同空室率の上昇傾向に4ヵ月ぶりに歯止めがかかった。
地区別に見ると、船場地区を除くすべての地区で成約や入居がすすみ、梅田地区では大型ビルに対する他地区からの借り換え需要が出、割安感のある南森地区や新大阪地区でも他地区からのテナント企業の移転需要がみられた。移転動向としては、大型移転の動きは目立たないものの、中型・小型テナントに動きが出ている。また大阪ビジネス地区に多くみられるハイグレードな大型既存ビルのまとまった空室が、水面下でオフィス見直しを検討しつつある大企業の移転候補先となっている。
このような状況下でテナント企業の要望により柔軟に対応するビルが増えてきており、今後オフィス見直しを検討する企業が増加すると見られる。
なお、神戸地区の4月末時点の平均空室率は対前年末比0.89ポイント減の13.42%。昨年より新規供給が止まっていることもあり、今春は空室在庫の解消が進んだ。オフィス需要は低迷しているものの、ベンチャー企業数社がオフィスビルに入居するといった動きもみられた。年内は新規供給は無いが、来春完成予定の大型ビル1棟の募集がはじまっており、問い合わせや引き合いが出てきている。