国土交通省は10日、民間賃貸住宅の退去時における原状回復トラブルの未然防止のため、賃貸人・賃借人双方があらかじめ理解しておくべき一般的なルールを示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について、改訂を行なったと発表した。
同ガイドラインは、原状回復にかかるトラブルが頻発していることから、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例および取引実務等を考慮したうえで、原状回復の費用負担のあり方等につき、一般的な基準を1998年3月にとりまとめたもの。今回、さらなる普及・理解を図るべく、「賃貸住宅市場整備研究会」(委員長:山崎福寿上智大学経済学部教授)の下に「賃貸住宅に係る紛争等の防止方策検討ワーキングチーム」(座長:犬塚浩弁護士)を設け、改訂を行なった。
今回の改訂版では、新たに「原状回復にかかるトラブルの未然防止」に関する項目を追加。契約時における物件の確認の徹底、原状回復に関する契約条件等の開示のほか、賃貸借契約において特約を設ける場合には、特約を設ける客観的・合理的理由が存在することや、賃借人が特約により通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していることなどに留意する必要があるとした。
また、ガイドラインの内容のポイント部分を分かりやすく解説する「Q&A」を新設した。
このほか、最近の裁判例や国民生活センター等における相談事例の中から、通常損耗か否かの判断によりトラブルになりやすいと考えられるものについての事例を追加。
裁判例についても、類似の裁判例の重複掲載を整理するとともに、1998年度以降の10事例を追加し、掲載事例を17事例から21事例に整理した。