都市、農山漁村等における良好な景観の形成を図るため、国民・事業者・行政の責務を明確化するとともに、景観計画の策定、景観計画区域、景観地区等における良好な景観の形成のための規制等の措置を講じた、わが国初の景観についての法律である「景観法案」が、10日、閣議決定された。
景観法案によると、景観行政団体(都道府県、指定都市等または都道府県知事と協議して景観行政をつかさどる市町村)は「景観計画」を策定。計画区域内の建築物等の建築等に関し、届出・勧告による規制を行なうとともに、必要な場合には変更命令を出すことができる。
また、市町村は、市街地の良好な景観を形成するため、都市計画に建築物の形態意匠の制限等を定める「景観地区」を定めることができ、条例により、工作物の建設、開発行為等について必要な制限を定めることが可能。
さらに、景観行政団体は、良好な景観形成のための業務を適切に行なう公益法人やNPO法人を「景観整備機構」として指定することができる。
併せて10日、景観法の施行に伴い、都市計画法、屋外広告物法その他の関係法律の整備等について定めた「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」についても、閣議決定された。
具体的には、都市計画法の一部改正として、開発許可基準に景観計画に定める基準を追加することができるほか、都市計画の地域地区について、美観地区を廃止し景観地区を追加。また、景観地区内における建築物の高さの最高限度、敷地面積の最低限度等に関する建築規制を定める等、建築基準法を一部改正する。
このほか、屋外広告物法の一部改正として、景観計画との適合等を定めたほか、表示等禁止物件に景観重要建造物等を追加する。
なお、「都市緑地保全法」を「都市緑地法」に改めることなどを盛り込んだ「都市緑地保全法等の一部を改正する法律案」についても、10日に閣議決定されている。