不動産ニュース / その他

2006/3/24

業界トップがコメント「回復基調にあるも行政の支援策が今後のカギ」/地価公示

 国土交通省より23日に公表された「平成18年地価公示」につき、業界団体・各社のトップから以下のとおりコメントが発表された。

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田 和夫氏
 平成18年の地価公示では、全国平均で住宅地、商業地とも平成17年と比べ下落幅が縮小した。地方圏でも下落幅が若干ではあるが縮小した。
 一方三大都市圏の中心都市の中心部ではほぼすべての地点が上昇または横ばいとなり、この傾向は一部の地方中心都市にも現れてきているものの、地方によっては住宅地、商業地とも依然として下落幅が縮小していない所もあり、地価の二極化傾向がみられる。
 都心部での地価の上昇および全国的な下落幅の縮小は、本会がここ数年来強力に訴えてきた税制要望活動、いわゆる「取得」「保有」「譲渡」のいずれの段階でも減税政策が実現し、土地の流動化による有効利用促進の賜物であると考える。
 折りしも日銀の量的緩和政策が解除されたが、本会としては地方圏をも含む真の「資産デフレの脱却」をめざし、平成18年度においても消費税率引き上げへの対応を含め、「今後の土地住宅税制のあり方」について学識経験者からなる研究会を設置し鋭意研究し、要望活動を行なっていく所存である。

■(社)不動産流通経営協会 理事長 三浦 正敏氏
 地価は、住宅地、商業地ともに平成17年地価公示に比べ全国平均で下落幅が縮小し、特に三大都市圏の都心部においては、ほぼすべての地点で上昇や横ばいとなり、また利便性等の高さを反映してより高い上昇率を示す地点も見られる等、資産デフレからの脱却に至りつつある状況が伺える。
 一方、地方圏では、いまだ本格的な回復に向かっているとはいえない状況にあるものの、住宅地、商業地ともに下落率が縮小し、地方ブロックの中心都市等では、上昇、横ばいの地点の増加も見られるようになっている。
 このように、今回の地価公示においては、地価の長期低迷傾向からの脱却の兆しが、より鮮明になりつつあるといえる。しかし、全国レベルでの資産デフレ状況を克服し、わが国経済の活性化をさらに促進するためには、国民生活の基盤である土地・住宅に関する需要の持続的拡大が不可欠である。特に、現在、国会に上程されている住生活基本法案にもあるとおり、住宅ストックの有効な活用を図る既存住宅流通市場の活性化は、今後の政策上の重点課題であり、不動産流通を促進する税制改革の継続実施および住宅投資等に対する幅広い政策面での支援策の強化が求められる。

■(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 高木 丈太郎氏
 景気回復基調の中で大都市中心部ではオフィスビル市況が好転し、また、都心居住等利便性の高い地域ではマンション供給の拡大や土地の高度利用が進展して、東京圏都区部をはじめ大都市においては、好立地エリアから地価横ばい・上昇の傾向が定着しつつあると言える。
 しかし、一方では、日本全体の人口減少傾向や経済構造の変化等を背景として土地に対する総需要が逓減していく趨勢にあることから、高度成長期を通じてエリアが拡大した大都市郊外地域や地方都市においては、下落率に縮小傾向は見られるものの、地価下落に歯止めがかからない状況が長期化する惧れがある。
 このような状況を踏まえると、地方中核都市をはじめとして特に商業地で過重になっている固定資産税につき、地元自治体において条例による負担水準の上限60%への引き下げ措置を速やかに実施する等、それぞれの地域の経済活性化策を強力に推進し、バランスの取れた厚みのある経済の回復へと誘導していくことが不可欠と思われる。

■東京建物(株) 取締役社長 南 敬介氏
 東京・大阪・名古屋の三大都市圏を筆頭に都市の地価が強含みで持ち直していることは特徴である。
 これは、構造改革、規制緩和、都市再生の推進により都市経済の環境が整ってきたことによるものと思われるが、土地資産デフレが国の活力をそぎ、不況を加速するという10数年にわたる悪循環にようやく終止符が打たれたという意味ある地価公示である。
 とはいっても、下落しきった地価の持ち直しに過ぎず、バブル的現象という見方はまったく当たらない。

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