三井不動産販売(株)の岩崎芳史社長が23日、専門紙記者と会見し、2006年度機構改革を中心とした中期経営・事業ビジョン等について語った。
同氏は、今期(05年度)の業績を「リハウスがターゲットとする一般流通市場、法人・金融マーケット、そしてリパーク(駐車場)事業と、いずれも事業環境が非常に良い。仲介手数料も史上最高を記録しそうだ。目標としていた売上高950億円、営業利益135億円はほぼ間違いなく達成できる」としたうえで、「06年度からは、新築販売部門を新会社・三井不動産レジデンシャルに移行するが、これによる利益の減少は6分の1程度でしかない。逆に社員数は半減し、生産性が上がる。新築販売の抜けた穴は十分カバーできる。
03年度からスタートした三井不動産長期経営計画は今年度で折り返しとなる。この3年間で当社は、リストラを完了し、本業で利益をしっかり出せる体制を構築した。来年度からの後半戦は、リハウス事業、アセットコンサルティング事業、リパーク事業を3本柱とした、組織構造の変革を進める。構造変革を加速させるため、部門損益を無視してでも先行投資できるよう、社長ファンドも用意した。06年度は構造改革の年、07年度はその組織でトライアルし、08年度に大きく伸ばす」などと語った。
同社は、今春の機構改革により、住み替えマーケットを対象としたリハウス営業本部、都心エリアマーケットを対象にした都心営業本部、不動産金融マーケットを対象にしたアセットコンサルティング事業本部、駐車場マーケットを対象にしたリパーク事業本部の4本部制を採り、各マーケットへの深耕拡大を図る。
「最も重要なのは、人・ブランド・情報。人材育成では、営業マン一人ひとりの強み・弱みを把握させたうえで、自分の能力が最も生かせる分野での活躍を全社でバックアップする。ブランド力を全国的に高めるために、利益がそれほど期待できない地方都市への出店も、さまざまな形で展開していきたい。情報力については、これまで数年にわたり強化してきた売り情報収集力をさらに強化していく」(同氏)。
各事業分野の戦略としては、1回の取引で終わることの多かった法人への、プロジェクトマネジメント、アセットマネジメント・プロパティマネジメント業務などを通じた長期的な営業による「ストック的収益の確保」(同氏)、都心営業では、投資家へのバリューアップ提案、コンサルティングの強化、リパークでは機器発注コストダウン、稼働率管理の徹底などによる利益構造の追求などを行なっていく。
「長期経営計画最終年度となる08年度には、三井不動産の連結営業利益目標1,600億円の約10%にあたる、160億円の営業利益を計上したい」とした。