(社)不動産流通経営協会(FRK、三浦正敏理事長)は20日、「既存住宅の流通促進に関する研究会」(座長:浅見泰司東京大学空間情報科学研究センター教授)を発足させ、同日第1回の研究会を開いた。
同協会の今年度事業計画に盛り込まれた「既存住宅流通量の把握及び流通促進に関する基礎的調査研究」事業の一環として設置されたもの。「住生活基本計画(全国計画)」では、既存住宅の流通シェア拡大も「成果指標」として盛り込まれているが、そのベースとなる住宅・土地統計調査(総務省)が5年毎の調査であるほか、建て替えや買い増しといった多様な形態で取得された既存住宅がカウントされていないなど、市場の実態からかけ離れた部分もあることから、研究会ではさまざまな角度から既存住宅の流通量を推計することで、政策目標の実現にもっとも効果的な既存住宅の流通シェアの考え方と、諸外国との比較・検討を行なっていく。
また、普及の進んでいない既存住宅性能表示制度や民間の住宅検査制度の現状と今後の課題の洗い出し、住宅の質と価格との関連性に関する調査などを行なうことで、市場で評価される評価内容・手法、住宅の質が価格に反映される市場形成への示唆などについて検討していく。
第1回研究会の冒頭挨拶をした浅見座長は「既存住宅の流通量を拡大するには、質の問題は外せない。消費者の目により良いもの悪いものがきちんと選別され、それが価格に反映されるようになれば、市場は拡大していく。その意味で、住宅の質と価格評価の関連性などを調査する当研究会の役割も大きいはず」と抱負を述べた。また、同協会の臼井清春事務局長は「既存住宅の流通量実態調査については、今回の研究会の調査だけで終わらせず、継続的に研究を続け、より実態に即した信頼できるものへ近づけていきたい。そうしたデータを国土交通省などに提供することで、ストック重視への転換を図った国の政策を後押ししたい」と語った。
なお、同研究会には(株)ニッセイ基礎研究所金融研究部門上席主任研究員の松村徹氏や日本大学教授の中川雅之氏などが委員として参加するほか、同協会会員社がオブザーバー参加し、流通現場の情報を提供する。年内3回の研究会を開き、年明けにも何らかの報告・提言を発表する予定。