(社)不動産協会は9日、「グローバル経済下における不動産のあり方懇談会」(座長:伊藤元重東京大学大学院教授)の報告書を発表した。
同会は、経済のグローバル化に対応した今後の不動産のあり方について検討するため、2006年3月に発足。報告書は、5回にわたる議論の結果をまとめたもの。
報告書では、現在の不動産市場を「グローバル化した投資活動や証券化に代表される金融技術と不動産の融合、最先端のコンセプトによる都市再生事業の推進などにより、15年以上続いた資産デフレから立ち直りつつある」とし、今後もわが国の経済が成長するためには、不動産投資市場の整備と都市・街づくりの推進が不可欠とした。
一方で、日本の都市を国際間競争という視点で見た場合、東京や大阪の地位が世界の代表的な都市と比べ低いことを指摘。不動産投資市場の整備や都市再生事業などを対象とした投資機会と投資商品作りを推進するなど、都市間競合に対応した戦略が必要としている。
こうした視点を踏まえ、報告書では、今後検討されるべき課題として(1)不動産投資商品の多様化や他の金融商品と比較するためのパフォーマンスインデックスの整備など、多様な投資機会を有する不動産投資市場の整備(2)マルチハビテーションなど居住形態の多様化を踏まえた政策対応(3)グローバル金融市場におけるわが国の住宅金融のあり方の検討(4)グローバル経済下での競合を考慮した、欧米諸国と同様の軽課の検討など、世界標準の不動産税制、などを挙げている。