(財)ベターリビングは20日、すまい・るホール(東京都文京区)で「ブルー&グリーンプロジェクト シンポジウム『森をまもり、育む家づくり』」を開催した。
同シンポジウムは、「緑」と「家」の関係が崩壊しつつある中、肌に触れる身の回りの環境から生態系や地球といった大きな環境に至るまで、「緑」「木」「森」の役割の見直しが急務であるとし、「家づくり」との多岐にある接点を再点検し、さまざまな先導的な取り組みを通じて、未来の姿を展望するもの。
同法人常務理事の山田 滋氏は冒頭の挨拶で「われわれはPL部品を中心に高効率の給湯器やガス器具の普及に力を入れてきた。また、これらの器具が1台売れるたびにベトナムに1本の植樹をしてきており、これまでに約50万本を植えることができた」と述べた。
基調講演では武蔵工業大学環境情報学部教授の岩村和夫氏が「緑のはたらき、緑のイメージ~建築緑化の歴史から」をテーマに講演を行なった。
ここでは、同氏が設計に携わった屋久島環境共生住宅の概要や古代にさかのぼる緑化建築、日本における近代以降の緑化建築などの解説がなされ、建築緑化が4,000年を超す建築文化とともにあることなどを分かりやすく説明した。
続く事例紹介では「ガスで森を作る(ブルー&グリーンプロジェクトの取組み)」(ベターリビング)や「5本の樹計画」(積水ハウス(株))、「緑をまとう住まい『グリーンプラス』」(旭化成ホームズ(株))などの住宅関連業界における取り組みを紹介した。
最後に行なわれたパネルディスカッションでは岩村氏をコーディネーターに有馬孝禮氏(宮崎県木材利用技術センター所長)、栗田紀之氏(建築環境ワークス共同組合代表理事)、森 徳典氏((財)国際緑化推進センター顧問)、山田貴宏氏(ビオフォルム環境デザイン室主宰)といったパネリストが「森、緑と家づくりの多様な接点と、その未来」をテーマに討論を行なった。
それぞれ各分野での木材の現状などを報告し、「これまでとは違う仕組みの中で木材を使い、それにより森を豊かにしていく」という方向性を示した。