◆(社)不動産協会 理事長 岩沙弘道氏
厳しい財政状況にあるなか、全体として経済の活性化や国民の住生活向上に引き続き配慮した改正内容となっている。
土地・住宅税制では、まず、土地売買に係る移転登記の登録免許税が来年度も据え置かれたことで、企業だけでなく個人の土地取引の活性化にも資することとなり高く評価したい。また、住宅の省エネ改修促進税制の創設、長期耐用住宅の特例の創設、住宅取得資金贈与に係る相続時精算課税の特例の延長、新築住宅の固定資産税の減額特例の延長等、国民の住生活向上、住宅取得支援のための措置が講じられることとなった。さらに、都市・地域再生推進の観点からは、Jリート等の登録免許税の延長、非住宅用建物の不動産取得税の特例の創設等が図られ、全国的な地域の活性化に寄与することが期待される。
これらは、国民経済・国民生活に密着する重要な改正内容であり、年度末までの改正法案成立に向け、与野党を挙げて取り組んでいただきたいと思う。
今回の税制改正を踏まえ、不動産業界として今後も都市・地域の再生、ひいては日本経済の国際競争力強化に一層寄与していくとともに、土地・住宅市場の活性化によって、わが国経済が力強い成長軌道に乗るよう努めてまいりたい。
◆(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田和夫氏
2008年度税制改正は、社会保障や財政赤字の拡大など厳しい財政事情により、国民の住宅取得に直結する土地住宅税制の各種特例措置の適用期限延長も大変厳しい状況にありました。そのような中、本会では、従来からの全国的な資産デフレからの脱却に加えて、先般の建築確認制度厳格化により減少した住宅着工の回復を訴え、47宅建協会一丸となって精力的に要望活動を展開しました。
その結果、本会が最重点要望としていた土地売買に係る登録免許税の軽減税率が延長されたのをはじめ、住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例、不動産取得税のみなし取得日の特例、新築住宅に係る固定資産税の減額措置、耐震改修に係る特別償却制度等、従来からの各種特例措置の適用期限の延長が盛り込まれました。
さらに、来夏の北海道洞爺湖サミットの主要議題である環境対策として、福田首相の最重点政策である「200年住宅」構想を支援する税制措置や住宅に係る省エネ改修促進税制が創設されました。
現下の政治状況は衆参ねじれ現象でありますが、国民の住宅取得、ひいては日本経済の持続的な成長に直結する土地住宅税制改正でありますので、速やかな法案の成立を期待しております。
◆(社)住宅生産団体連合会 会長 和田 勇氏
国土交通省関係税制では、住団連の要望していた、租税特別措置法の延長ものや、住宅の長寿命化(200年住宅)促進税制、省エネ改修促進税制の創設などが基本的に認められたので、大いに評価が出来る税制改正であった。ただ、次世代省エネ住宅の投資減税が認められなかった点が残念である。
厳しい住宅市況の中ではあるが、今後、長期耐用、省エネ等、社会的資産としての良質な住宅ストックの形成・拡充に、努力していきたい。
◆(社)不動産流通経営協会 理事長 岩崎芳史氏
社会保障の安定財源確保の要請をはじめ、様々な経済・社会の構造変化に伴う財政上の諸課題に直面するなか、今般発表された税制改正大綱は、当業界においては、不動産流通市場の活性を図る観点から、税制面でも所要の配慮がなされたものと受けとめたい。
具体的には、当協会の重点要望事項でもあった「相続時精算課税制度の住宅取得等資金贈与における特例措置(贈与者の年齢要件の緩和及び1,000万円特別枠)」、「新築住宅に係る固定資産税の税額2分の1相当額減額の特例措置」等について期限延長が図られ、段階的税率引き上げの条件付きではあるものの「土地に関する売買による所有権移転登記の登録免許税の税率特例」についても期限延長が図られたことは、不動産流通市場に与える影響について、一定の配慮がなされたものとして評価したい。
また、「長期耐用住宅促進税制」の創設において、既存住宅が適用対象とされていないことは遺憾であるが、良質な住宅ストックの形成に寄与し、ひいては今後の住宅流通市場の活性化に寄与する税制と期待され、「200年住宅ビジョン」具現化の第一歩として評価される。
さらに、「住宅の省エネ改修促進税制」の創設も、減税対象が改修費用をローン借入した場合に限定されたとはいえ、地球温暖化対策への貢献策として意義があると考える。
最後に、改めて、今般の税制改正にご尽力いただいた、関係の国会議員の諸先生方ならびに国土交通省など関係省庁の皆様に厚く感謝申し上げたい。
◆(社)日本ビルヂング協会連合会 会長 高木丈太郎氏
エネルギー需給構造改革投資促進税制が延長・拡充され、商業ビルの省エネルギー改修促進税制が拡大されたことは評価できる。これにより、既存ビルの省エネ対策が促進され、業務部門の温暖化ガス対策の進展に効果があがることを期待したい。
事業用建築物に係る耐震改修促進税制が延長されたのは妥当である。適用要件等に課題も残るが、耐震改修が一層進展し、安全な都市づくりの一助になることを期待している。
土地の登録免許税の軽減税率特例の延長、建物に係る不動産所得税の軽減税率については、ほぼ期待どおりのものとなったのは喜ばしい。
なお、流通課税の問題は、今後、エンド・ユーザーの負担を軽減し、不動産取引の活性化を図る観点から抜本的な見直しを行なう必要がある。
◆(社)全日本不動産協会 理事長 川口 貢氏
米国サブプライムローン問題の拡大や、円高、原油高など、わが国経済の先行きに不安要素が目立ってきている。不動産業界でも、改正建築基準法の影響で住宅着工が減少しており、景気への悪影響が懸念される。そのようななか、本会は、2008年度税制改正にあたって景気回復に急ブレーキをかけることがないよう、土地の売買による所有権の移転登記等に係る登録免許税の特例措置の延長はじめ、新築住宅のみなし取得時期等に係る不動産取得税の特例措置の延長等、これまで政策的に措置されてきた特例制度の継続を強く訴えてきた。
このたびの与党税制改正大綱では、土地の売買による所有権の移転登記等に係る登録免許税の特例措置については、1年間税率を据え置き3年の延長が認められ、新築住宅のみなし取得時期等に係る不動産取得税の特例措置の延長が認められるなど、一定の配慮がなされたものと思われる。
また、200年住宅促進税制の創設や省エネ改修促進税制の創設など、良質な住宅ストック形成の実現と地球環境へ配慮した政策税制が盛り込まれたことが特徴的である。
このたびの税制改正大綱が、次期通常国会において、すみやかに可決されることを願うものである。