不動産ニュース / その他

2008/1/7

「2008年 年頭挨拶」(各社)

三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙 弘道 氏
三井不動産販売(株) 代表取締役社長 佐藤 実 氏
三菱地所(株) 取締役社長 木村 惠司 氏
東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠 氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺研一 氏
森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔 氏
森トラスト(株) 代表 森 章 氏
大京グループCEO 田代 正明 氏
(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 岩尾 崇 氏アセット・マネジャーズ(株) 代表執行役社長兼CCO 青木 巌 氏
コールドウエルバンカーアフィリエイツジャパン 代表取締役&CEO 定村 吉高 氏


■三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙弘道氏

 新年あけましておめでとうございます。
 最初に、2007年を振り返ってみますと、前半は、日本経済、世界経済とも好調な国内企業部門、新興国の高成長、これに伴う世界経済のデカップリングの進展に支えられ、順調な成長を遂げました。事業環境の面でも、イノベーションの推進、企業活力向上の面でも良好な状況にあったと思います。
 しかし、中盤以降、サブプライム問題に端を発して国際金融・資本市場が不安定となり、今なお継続しています。また、世界の株式市場が低迷する一方で、原油や食糧といった資源価格が高騰し、インフレ懸念も一部に浮上しています。
 一方、国内では、7月以降、改正建築基準法に基づく建築確認手続が長期化し、住宅だけでなく、都市再生や企業の設備投資にも影響を及ぼしています。そういった意味で前半は「順調」で「安定」していましたが、後半は参議院選挙後の政局もあって「不透明感」が増した一年だったといえます。
 当社グループについては、大きな成果を挙げることができた一年でした。
 2003年に策定した長期経営計画「チャレンジ・プラン2008」は、目標であった営業利益、財務体質の強化を2年前倒して達成し、さらに、グローバルなフィールドで「不動産ソリューション・パートナー」への進化を目指し、「新チャレンジ・プラン2016」を公表しました。
 また、都市再生プロジェクトとして「東京ミッドタウン」をオープンさせ、予想を大きく上回る来街をいただき、人々の交流をグローバルに活性化させることができました。日本の都市の魅力、国際競争力の高さを内外に示すとともに、当社グループを代表する都市再生事業になりました。
 新たな都市再生事業・新規分野への進出という点でも、帝国ホテルへの資本参加、リゾート4施設の取得など、大きな進展がありました。新チャレンジ・プランで目指す保有・開発・マネジメントのバランスの取れた成長へ向けて、力強い第一歩を踏み出すことができたと思います。
 昨年は「新チャレンジ・プラン」初年度として、「攻めの経営」「都市再生」が、期待以上の成果を挙げた一年だったと感じています。
 今年2008年は、日本経済、世界経済がこれまでの長期にわたる安定成長に、ある意味での「区切り」、ピークを迎え、新しい経済成長、価値観、秩序の形成へ向けて歩み出す年になる、と予想しています。
 国際的には昨年の韓国に続き、米国、ロシアで新大統領が誕生し、新たな国家戦略が打ち出されます。8月には北京オリンピックが開催され、BRICsの代表国である中国に対する注目度は一層高まります。これらを契機に、グローバルレベルで新たな胎動が始まるものと予想しています。
 また、国内の政治情勢には、一部不透明感がありますが、グローバル経済での日本の競争力の維持向上、国民生活の安心と安全のためには、構造改革は何としても進めなければなりません。また、「安心、安全、信頼」を求めるお客さまの声を、当社グループとしても真摯に受け止め「すまいとくらしのベストパートナー」として、新しい時代に向けた「安心、安全、信頼」を打ち出すとともに、都市再生、地域再生を加速させていく必要があります。リーディングカンパニーとして、構造改革につながるこれらの施策を、しっかりと進めていきたいと考えています。
 一方、昨年9月からは金融商品取引法が施行され、今年4月からはJ-SOXがスタートします。「投資者の保護」「適切な業務遂行」は当然求められるものであり、業務プロセスの改善は、意識改革につながります。企業として、高いレベルでのコンプライアンス、行動規範を遵守することはもちろんですが、この分野でも緊張感を持って臨み、フロントランナーを目指していきたいと思います。
 以上のように、日本の都市、我々のビジネスも、国際競争力を問われる時代を迎えます。当社グループも新たな国際競争を勝ち抜くためにも進化しなければなりません。不透明感が高い時期こそ、我々の付加価値創造力が問われます。グローバルセンスを一層高め、イノベーティブな取り組みを継続強化して、新たな価値を創造していきたいと思います。そういう意味を込めて、今年のスローガンは、「国際競争新時代。高めよ、グローバルセンス。」といたします。
 最後に皆様のこの1年のご健勝とご多幸をお祈りとして年頭の挨拶とさせていただきます。


■三井不動産販売(株)代表取締役社長 佐藤 実 氏

~「お客様第一」のDNAを進化させる年~

 明けましておめでとうございます。
 本年の日本経済は、昨年からのサブプライム問題の実態経済への波及、中国、アメリカなど諸外国の景気動向、円高、原油価格の高騰による国内消費等への影響などにより、ますます不透明感を増してきておりますが、その一方で好調な輸出、設備投資、企業収益に支えられ、緩やかな景気拡大が続くと予想されます。
 また、不動産を取り巻く事業環境としては、都心部を中心とした急激な価格上昇と、個人所得の回復の遅れが相俟って、不動産取引の伸長に一服感がみられる状況となりました。しかしながら、消費者の住みかえニーズや企業・公的セクターの不動産戦略に基づく資産流動化ニーズは依然として旺盛であり、価格調整局面を経て再び活性化すると考えています。
 そのような事情環境のもと、当社の各事業は順調に進捗してはおりますが、今後の更なる飛躍に向けては、より一層の企業努力が必要であると感じており、引き続き構造改革を推進していく所存です。
 そのために、今年は創業以来当社に受け継がれている「お客様第一」のDNAを更に進化させる年にしたいと考えております。
 昨今、企業にはコンプライアンス、J-SOX法、金融商品取引法等企業活動における遵法性、適格性が強く求められるようになっていますが、その要諦はお客様第一の精神の徹底であると考えます。当社では、昨年4月より顧客満足度を数値化する取り組みを開始しましたが、今年はその結果と原因を分析し、スコア向上のための具体的な施策を講じてまいります。また、今後においても顧客満足度の計測を継続的に実施し、結果の分析、向上策の実施というサイクルを廻し続けることにより当社各事業において、お客様第一主義を進化させ、お客様に「満足」を超えた「感動」を提供する企業になることを目指します。
 最後になりますが、当社の主要事業である不動産流通業と駐車場事業はいずれも社会的意義の高い事業であるとともに、お客様満足度の追求が社会的責任の全うにも繋がる事業であるという自覚と誇りを持って、役員・社員一丸となり、本年も業務に邁進してまいります。
 本年も皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆様にとって素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。


■三菱地所(株)取締役社長 木村 恵司 氏

 本年は、国内外で政治・経済に不透明感が増すなか、不動産業界においても、地価、工事費の上昇等、事業環境に変化が生じることが予想される。引き続き「オープンマインド」「チームワーク」を大切にして、次の3つを念頭に業務に取り組んでほしい。

(1)J-SOXの導入、人口減少問題、環境問題他は避けて通れない。過去の歴史を参考として、これらの時代の動きに先んじて対応する。
(2)お客様の目線、市場との対話を重視して欲しい。昨年策定したコーポレートブランドスローガンに掲げたとおり、街を舞台として「人を想う」ことを、常に考える。
(3)基本プレーの重要性を今一度確認する。また一方で、リスクをとるという姿勢を失ってはならない。

 2008年度は、新中期経営計画がスタートする。現中期経営計画で掲げたソーシング、デベロップメント、不動産サービスの強化に加えて、新たな3つのキーワードを考えている。1つはコンプライアンス。コンプライアンスに対する意識が風化しないよう心がける。2つめはイノベーション。金融と不動産の融合を踏まえた新事業の展開、ITの推進、コーポレートブランドの向上のための内部改革を進める。3つめはグローバル。グローバルな市場で活躍できる企業グループに成長する。

 今年は勝負の年と位置づけ、グループ総力戦で、グループ社員がお互いに切磋琢磨してがんばっていきたい。


■東京建物(株)代表取締役社長 畑中 誠 氏

 日本経済は緩やかな息の長い成長を続けているものの、米国経済の減速懸念、原油・素材価格の高騰、国内の政治不安など、先行きの不透明感が増している。当不動産業界は、改正建築基準法による建築確認の厳格化の影響を受け、住宅着工が急減している中、住宅市場は土地価格や建築費の上昇により販売価格が上昇し、郊外の一部では、販売状況に陰りが見えてきた。一方で、金融商品取引法の施行により不動産投資環境が整備されたことは、不動産投資市場の透明性、信頼性が高まり一層の市場拡大が見込まれるなど、当社グループにとって今後の大きなビジネスチャンスとなる。
 当社グループは、このような事業環境の変化を的確に捉え、その変化に即応するとともに、常に革新と創造を発揮し日々の研鑽を続けることで新たな成長軌道を確立することを目指していく。
 そこで本年度は、「事業環境の変化に即応し、新たな成長軌道を確立する」を基本スタンスとし、
(1)グループの統合力を発揮し、顧客評価№1の実現を目指す
(2)不動産証券化やファンド事業による事業機会の拡大
(3)コンプライアンスに徹し、確かな信頼を未来へ繋げる
(4)着実な事業推進とコストコントロールの徹底
を基本方針として、全役職員一丸となり、目標達成に向け果敢に挑戦して頂きたい。


■住友不動産(株) 代表取締役社長 小野寺 研一 氏

新年明けましておめでとうございます。
今期は、昨年4月にスタートした「第三次成長三ヵ年計画」の初年度である。今のところ当初の目標は達成確実な状況であり、これにより11年連続増収増益、8年連続経常最高益を更新することになる。
このような輝かしい成果は、役職員一人一人の尽力の賜物で、改めて心からその労を称えたい。
しかし、「第三次成長計画」で掲げているハードルは決して低いものではない。
昨今の日本経済には暗雲が漂いはじめており、今後当社にとっても、厳しい状況が訪れることは必至である。「現状を持続すれば達成できる」という緩んだ空気が会社全体に蔓延していないか、強く危惧している。
年頭に当たり、是非、役職員一人一人が、自ら高い目標を設定し、考える集団として、その達成のために邁進していただきたい。


■森ビル(株)代表取締役社長 森 稔 氏

この春には、中国・上海市に建設中の101階建て超高層プロジェクト「上海環球金融中心」が完成し、中国に国際金融センターとしての核ができる。今後、さらなる発展が期待される中国において、その一端を担う我々の責任は大きく、当社にとっても、本プロジェクトの成功が今年の大きな鍵を握るといえる。
一方、東京も国際金融センターとなるべく動き出している。東京が、発展するアジアの中核となるべく、我々ディベロッパーの果たす役割は大きい。これからの知的な高度サービス産業の時代に相応しく、オフィス、住宅、商業、文化、娯楽などが高度に融合したコンパクトシティを形成し、地震などの災害に強く、地球環境に優しい緑あふれた都市づくりが必須だ。こうした都市づくりの実現により、東京は、国際競争力のある新たな“磁場”として世界の交流の中心となる。我々は、レゾンデートルである再開発を通じて、さらなる開発のスピードアップを図りながら、東京の国際金融センター化に向けて、その先頭に立つ存在でありたいと思う。
今年の干支は「戊子(つちのえね)」、子が生じてよく成長するとのいわれがある。当社においても、個人、組織がともにさらなる能力向上を図り、大きな成果を上げる年としたい。皆さんの一層の奮起と活躍を期待する。


■森トラスト(株) 代表 森 章 氏

 2008年は、サブプライム問題の影響など、世界経済・日本経済ともに不確実性が高まっており、事業環境も変化することが予測される。こうした「変化の時代」に、森トラストグループは、リスク耐性の強化と同時に多様なビジネスチャンスの開拓期と位置づけ、事業を展開していく。
 当グループは2006年、森トラスト(株)を「不動産事業」「ホテル&リゾート事業」「投資事業」の3事業部制に組織再編したことを端緒に、グループの第3ステージとして多業種多企業を包含した複合企業体経営を推進している。これは、永年蓄積した豊富なノウハウを持つ3事業を主軸に、強い資産ポートフォリオ、事業ポートフォリオを構築するためである。
 不動産事業では、今年は新規プロジェクトとして、1月に仙台中心地の約五千坪の敷地で展開する「仙台一番町プロジェクト」の着工、11月に東京駅隣接の「丸の内トラストタワー本館」竣工が控えている。昨年落札した「虎ノ門パストラル」跡地再開発計画も検討を進めていくことになる。既存のビルのついては、建替えや売却などによって新陳代謝を行っていく。競争力のある資産ポートフォリオを構築した上で、未稼働物件などの余裕も持ち、事業環境の変化への耐性が強い事業体とする。
 ホテル&リゾート事業では、創業した「ラフォーレ倶楽部」のホテル施設のリニューアルや、ブランディングの強化などを行い、内部からの新陳代謝も積極化していく。
 投資事業では、企業へのM&Aやベンチャー投資、ファンド組成などを行っていく。不確実性の高い社会状況としうのは、投資案件も活発化することが予測される。多様な事業を取り込むことで変化への耐性を強化すると同時に、新たなビジネスチャンスの開拓としても位置づけ、積極的に展開する。
 資産、事業の両面から強いポートフォリオを構築することで、諸関係者やビジネスパートナーと共に発展する共栄のビジネスモデルを創造し、社会から信頼される有益な事業を推進していく。


■大京グループCEO 田代 正明 氏

 昨年、2007年は不動産業界、とりわけ私たちマンション事業会社にとって、正に潮目となる1年でした。
 好調に推移してきたマンション分譲市場においては、供給数が大幅に減少し、土地価格や建築コストの上昇で商品価格が高騰したことにより、商品企画や供給エリアによる売れ行きの好・不調という二極化がより鮮明になってきました。また、中古市場にも減速感が出始めるなど、市場環境は大きく変化してきております。
 改正建築基準法による建築確認手続期間の長期化、サブプライムローン問題の日本の株式市場への影響などもあり、今後も不動産市場は決して楽観できない状況です。
 こうした中、昨年は『収益』と『事業規模』を同時に拡大する成長3ヵ年と位置づけ、『既存事業の強化』と『新規事業への取り組み拡大』を基本戦略とした「新3ヵ年計画」をスタートさせました。20年ぶりにグループのロゴマークを刷新し、ストック事業の中核を担う大京アステージ、大京リアルドの2社は、さらなる事業領域の拡大を目標に掲げて社名を変更いたしました。また、扶桑レクセルとの結びつきも強まりましたし、新規事業の取り組みもスタートすることができました。
 しかしながら、今年はさらに厳しい状況になると予想しております。
このような厳しい環境の時こそ、リーディングカンパニーとしてのグループの総合力を活かし、実力を発揮できる絶好の機会です。
 お客さまの声をしっかりと受け止め、それを商品・サービスに反映させるためにも、変化に、迅速、かつ柔軟に対応できる組織・機動性が今まで以上に求められます。
 急激に変化する環境にいかに適応するか、これが今年の重要なポイントになります。
 そのためにも、3つのことを心がけてください。
 まず1つ目は『スピード』。変化に対して常に敏感であり、且つ機敏な対応を取ってください。
 2つ目は『チーム力』の結集。個々の力を活かし、結集することで力は倍加し、2乗3乗のエネルギーとなります。
 そして3つ目は『自己の成長』。一人ひとりが常に研鑽の努力を惜しまず、能力、スキルの向上を目指すことが会社を成長させます。
 また、大京グループの持続的な成長の中では、内部統制、コンプライアンスの遵守はもちろん、企業としての社会的責任も果たしていかなければなりません。
 厳しい1年になると思いますが、事業基盤、財務面の対外的評価、労務環境なども改善し、闘う下地は十分に整っています。『変化』に臆することなく、『成長・飛躍』を目指しましょう。


■(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 岩尾 崇 氏

 新年あけましておめでとうございます。
平成20年の新春を皆様とともに明るく元気に迎えられたことを心から嬉しく思います。
 昨年は、世界・日本ともに多事多端な一年間でありました。特に年の後半以降は極めて流動的で、厳しい環境でありました。そうした環境の中、長谷工グループの役職員の努力と、多くの方々の協力を得まして、新中期経営計画の最終年度は極めて順調に進んでおります。2007年9月中間期決算におきましても「再生完了」の予備宣言をさせていただくことができ、重ねて感謝申し上げます。
 年頭の心構えとして、一昨年は信用・信頼の「信」を申し上げました。昨年はお客さまに対する感謝・思いやりの「心」を申し上げました。今年はこの2つの「シン」を活かしつつ、『新』を加えた3つの「シン」を掲げてまいりたいと思っております。
 「温故知新」という孔子の言葉があります。ふるきをたずねて『新』しきを知る、そして『新』たに創造することが大事だと考えております。
 「信」と「心」を心『新』たに胸に秘め、そして日々『新』たな気持ちで毎日の業務に臨むことが大切です。今年3月末で再生完了し、長谷工グループの『新』しい時代・ステージを築くという気概を持ってこの一年努力していきましょう。
 なお、今年4月からJ-SOX法が本格適用されます。当社ではコンプライアンスの中心となるリスク統括部を設置し、リスクの洗い出しとその対応策の検討を約2年間行なってきました。今後の企業経営・活動にとってコンプライアンスを含めたリスクマネージメントは最も重要なポイントになります。もう一度、グループ各社のトップが中心になって、リスクマネージメントに力を注いでいただきたいと思います。


■アセット・マネジャーズ(株) 代表執行役社長兼CCO 青木 巌 氏

「市場環境の変化に対応できる事業ポートフォリオを構築する」

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は、米国サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱や、金融商品取引法の施行に代表される各種法規制の強化など、不動産投資業界においても、今後の業界動向を左右するような重大な出来事が起こった一年でした。
 本年は、それらの影響等により、金融機関による融資先の選別や融資姿勢の厳格化が一層進むとともに、金融商品取引法対応への負担も重なるため、資金規模の小さい中小・中堅規模の企業の中には、独力での経営維持が困難となる企業が一部出てくることも想定されます。
 しかし、日本国内では都心部を中心に、オフィスビルや商業施設への需要は依然として高く、賃料の上昇基調は続いています。日本の不動産がグローバルで比較して魅力的な投資対象であることに変わりはありません。そして、法規制の強化は、経営の透明性を確保できない企業の淘汰につながり、業界の再編とともに、中長期的には市場の健全な発展が促進されると考えています。
 当社グループでは、数年前から、開発案件を中心とした国内不動産への投資や運用で高収益を確保しながら、経済成長著しいアジア地域へ進出し、アジア地域の企業や不動産への投資を積極的に手がけるなど、いち早く収益源の多様化に努めてまいりました。さらに、グループ内に新たに証券会社を設立し、マーチャント・バンク(投資銀行)の要となる金融事業の強化を進めてまいりました。
 本年、当社グループは、3月1日をもって持株会社体制へ移行します。目的は、各事業の競争力の強化と透明性の向上、各種法規制に万全に対応できるガバナンス体制及びリスク管理体制の強化、そして、市場環境の変化をいち早く把握し、迅速かつ機動的に事業ポートフォリオを運営できる経営体制を構築するためです。
 持株会社体制移行後は、国内の不動産を軸とした「国内投資」、アジア地域の企業及び不動産を軸とした「海外投資」、金融アレンジメントやファンドの資金調達、運用等を軸とした「金融」を三本柱とし、金融と不動産のノウハウを融合させ、各事業の競争力を一層高めてまいります。
 最適な事業ポートフォリオで市場環境の変化の荒波を乗り越え、現状に満足することなく果敢に挑戦を続け、日本初のマーチャント・バンクとして成長を実現したいと考えています。

■コールドウエルバンカーアフィリエイツジャパン 代表取締役&CEO 定村 吉高 氏

 あけましておめでとうございます。
 「日本の不動産業に新しい風を」との志を掲げ、一昨年暮れに発足したコールドウエルバンカーアフィリエイツジャパンもおかげさまで2年目を迎えることができました。
 振り返ってみると、2007年は耐震偽装問題と共に幕をあけ、年金問題や食品の偽装が続々と社会問題となるなど、改めて「信頼とは何か」を問われた年であったと思います。
 不動産業界全体としても、耐震偽装問題の余波などもあり、大変厳しい年でした。しかしそのような逆風の中でも、高い倫理と教育に裏打ちされたブランド力により、コールドウエルバンカーのフランチャイズネットワークは日本において大きく育ちつつあります。本年は、コールドウエルバンカーの100年を越える不動産経営のノウハウとお客様からの信頼を、日本でもしっかりと根付かせ、枝を伸ばし、そして花を咲かせる一年と念じ、社員一同努力する所存です。
 また、サブプライムローンの問題では、アメリカの不動産が壊滅的な状況にあるような報道も見受けられます。米国の住宅価格や着工件数などを見ますと、確かに高級物件が多く立ち並ぶ地域で過熱感に調整が入ったことや、他産業の撤退によって地域全体の住宅需給バランスが崩れたことを理由に若干落ち込んだ地域もあります。そういった調整期にある地域での競売物件在庫数だけを見ると、あたかもサブプライム問題の煽りを受けて全米で不動産が一様に下落しているようにも見えますが、しかし日本でのそのような報道とは異なり、アメリカの不動産市場を全体的に見ると堅調です。
 さらに、本件に関してマクロ経済や金融関係者ばかりがこの問題を論じており、どうしても取り上げ方や理解が一面的であるように感じます。幸いなことに、本年は権威ある内外情勢調査会の講師候補に選任されました。今までの情報発信に加え、これらの活動を通じて、現場を知る不動産の専門家としての視点からサブプライム問題を説明できる機会が多くなりそうです。この面でも何か不動産への信頼獲得にお役に立てればと念じているところでございます。
 いずれにしても、100年以上の歴史により培われたコールドウエルバンカーのノウハウと信頼を日本に一日も早く本格的に浸透させ不動産市場の透明性を確立するのが私共の任務と考えております。
 そのためにも皆様のご協力、ご理解が何よりの力でございます。どうぞ本年も宜しくお願いいたします。

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