(株)矢野経済研究所はこのほど、「ビル管理市場に関する調査結果2009」を発表した。国内のビル管理業者216社に対し、面談・電話によるヒアリング等を実施しまとめたもの。
08年度のビル管理市場は、前年度比▲6.4%の3兆8,508億円となった。前半は07年度に引き続いて堅調に推移したが、リーマンショック発生後の秋口以降は、急速に需要量が減退。とりわけ、新たな事業の柱として各社が需要取込みに注力してきたリニューアル工事等の工事業務は、不要不急の対応を除き案件が延期、中止となるケースも目立ち、市場環境の急変を受け多くの事業者が減収減益に陥った。
一方、09年度の市場規模は3兆7,635億円(前年度比▲2.3%)と予測。同市場の景気動向には遅効性があり、08 年度に不景気の影響を受けたのは下半期のみということから「リーマンショックに端を発した不景気の本格的な影響を受けるのは、むしろ09年度」としながらも、ビル管理業務は建築物ストックに対応した業務で、かつ管理コストも限界まで低下していることから、「急速に市場が縮小していく可能性は小さく、市場規模は、08 年度をやや下回る微減傾向で推移する可能性が高い」と分析している。
なお、同業界の注目すべき動向として「環境・省エネ対応」をあげ、「ESCO事業(省エネルギーに関する包括的サービスを顧客に提供して、省エネルギーとコスト削減を実現する事業)や、カーボンオフセット(温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業等の他の手段を用いて相殺しようという考え)への取組みなど、有力業者を中心に、将来の新たな収益源を求めて本格的に稼動を始めている」とした。