国土交通省は15日、「住宅市場動向に関する指標のあり方の検討業務」に関する報告書を発表した。マンション等の住宅投資市場において物件価格や賃料等のデータを整備することで不動産投資・流通市場の活性化を図ることを目的に、その指標(住宅価格指数)の整備のあり方や課題などをまとめたもの。早稲田大学に調査・研究を委託。住宅価格指数検討委員会(座長:川口有一郎早稲田大学教授)を設置。検討を進めてきた。
検討にあたっては、アメリカで最も利用されている「S&P/ケース・シラー住宅価格指数」を参考に、成約指数を利用した「日本版ケース・シラー住宅価格指数」3タイプ(首都圏マンション価格指数、首都圏戸建価格指数、賃料指数)を試作した。この指数を用いることで消費者物価指数と同等の精度を有する住宅価格指数が提供でき、国際的に住宅の価格変動に関する情報を共有できるとしている。
一方、住宅価格指数の整備にあたっては、広く収集された成約情報の原データとして「全国4つの指定流通機構に登録されている成約価格を利用することが最適である」とした。しかし、そのデータは「重要な個人情報」であることから取扱いは慎重に行わなれることが必要とし、「指数算出方法の開発主体が、その算出方法の使用を原データ所有者に許諾し、原データ所有者が指数を算出する方法」が最適としている。
同省は、報告書の内容などを参考にしながら、適切な住宅価格指数の早期開発・公表に向けた取り組みを関係機関等と協力しながら推進する方針。