ヒューリック(株)は4日、2009年12月期決算を発表、5日に説明会を開催した。
当期(09年1月1日~12月31日)の連結経営成績は、売上高312億2,900万円(前年同期比0.0%)、営業利益143億9,000万円(同▲7.2%)、経常利益109億3,900万円(同0.0%)、当期純利益は220億4,200万円(同272.4%増)と、売上高、当期純利益で過去最高を記録した。
東京23区を中心に所有する100件以上の賃貸物件(賃貸可能面積約40万平方メートル)を活用した不動産賃貸業を運営する同社は、築年数の古い物件を中心に建替えを進めており、期中に「ヒューリック八王子ビル」(東京都八王子市)、「ヒューリックレジデンス元代々木」(東京都渋谷区)、および同社連結子会社である仙台一番町開発特定目的会社が共同所有する「仙台ファーストタワー」(仙台市青葉区)の商業棟・アトリウムを竣工させた。
一方で、「中目黒センタービル」(東京都目黒区)を売却し、代替資産として「ヒューリック神田ビル」(東京都千代田区)、「ヒューリック九段ビル」(東京都千代田区)、「東京虎ノ門ビル」(東京都港区)を取得するなど、含み益を実現化、再投資による賃料収入の向上を図った。
なお、当期において、6件の建替計画が進行しているほか、新たに9件を建て替える決定をしている。
同社が所有する全物件の空室率は1.4%、平均賃料は2万756円/坪。
同日、同社は併せて会社分割と合併を発表。
同社の保険部門を同社100%子会社「ヒューリック保険サービス」として分割。今後、同社は不動産事業に特化した経営体制をとる。設立登記は3月1日。
また、不動産賃貸業を営む千秋商事(株)と芙蓉総合開発(株)を吸収合併。両社が保有していたオフィス等13物件、住居系2物件を組み込むことで、全体の賃貸面積が約1割程度、ベース賃貸収益が36億円、経常利益が20億円程度増加するほか、純資産が700億円から1,000億円に膨らむと見込んでいる。合併期日は7月1日を予定している。
なお、10~12年に実行する中期経営計画について代表取締役社長の西浦三郎氏は、「09年度で終了した中期3ヵ年計画は、10年から12年までに実行する新中期3ヵ年計画の準備段階であった。これまでの当社の経営戦略は財務戦略が中心とみられる向きもあったが、今後は『変革と飛躍』をキーワードに不動産会社として新しい成長段階に入りたい。
14年度に営業利益235億円、経常利益200億円、当期純利益110億円にもっていくためにも、3年後の12年度には営業利益190億円、経常利益155億円、当期純利益80億円を計画する。
そのためにも、新しい成長ドライバーの育成・開拓として、都心3区で駅から3分以内の物件といった優良物件への投資や、PPP事業などを積極的に手がけていく。
なお、現在当社の環境諮問委員会(仮称)で審査し、詳細を検討している“CO2中長期的削減目標”を実行し、CO2排出量総量を25%削減するなど、環境問題にも対応した事業経営を推進していきたい」と話した。
次期は、売上高335億円、営業利益155億円、経常利益120億円、当期純利益65億円を見込んでいる。