国土交通省は5日、「地方都市等における再開発ビル等の再生方策に係る検討調査」結果を発表した。
1969年に制定された都市再開発法にもとづく市街地再開発事業は、これまで約700地区で完了している。しかし、同法律の施行から約40年が経過し、これまでに竣工した再開発ビル等においては、その間の社会経済情勢の変化、中心市街地の衰退、建築躯体や設備等の老朽化などで、経営や管理運営上の課題を有するビルが増えてきた。そこで、これらの再開発ビル等の現状を把握、再生のために必要と考えられる枠組みや、その具体化にあたっての課題等を整理し、その再生方策についてとりまとめを行なったもの。
同調査では、再開発ビルの管理者、自治体、実際に大規模改装や建て替えを実施・検討しているビル等へのアンケート・ヒアリングを実施。「ビル全体や地域全体の売上の低下」「郊外店との競合」「空き床の発生」「(再生に係る)資金不足」「関係者の合意形成」といった再開発ビルの再生に係る問題点を抽出。こうした問題の多くは、「小さな問題の放置など日常の取組みの結果に起因しているため、これら問題の発生を予防したり深刻化させないことが大切である」とし、商業用途を中心とした再開発ビル等の自立的な再生を図る上での課題と、課題への取組の方向性を6つの視点(ビル周辺の街の1状況、商業マネジメントの改善、権利者とのコミュニケーション・合意形成、共用部分の日常的な管理の見直し、共用部分の修繕、管理運営組織・会社の経営)で整理を行なった。
そのうえで、今後事業化にあたって取っておくべき対応策として(1)PM機能の導入(管理組合との役割分担)、(2)事業組み立て段階からの地域リーダー的人材の育成・導入、(3)権利者の権利者意識・当事者意識の醸成と組織化、(4)将来の問題・課題に対応できる権利関係の設定、ハードづくり、(5)床の資産管理や処分・継承をスムーズに行なうための枠組みの導入、をあげている。
なお同省は、同調査をもとにした再開発ビル等の自己診断・自己再生のためのチェックリストも公表した。