国土交通省は5日、「独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)のあり方に関する検討会」(座長:森田 朗東京大学教授)報告書を発表。これを受け、馬淵澄夫国土交通大臣は10年度内に行程表を策定し、具体的な同機構の改革方針を明らかにする方針を打ち出した。
同報告書では、同機構全体の問題点として、組織・業務の分かりにくさ、財政投融資借入に依存、巨額の債務などの財務体質、業務効率の非効率、ガバナンスの不十分さなどを指摘。役割を終えた事業の廃止・見直し、民間への移譲などの組織のあり方、経営努力による債務の削減、見通せる時間軸での改革を前提に、事業・組織を見直すことを基本とすべきとしている。
組織の見直しについては(1)完全民営化、(2)政府100%出資の特殊会社、(3)新たな公的法人を検討したが、完全民営化については巨額の負債の返済等を一般会計で肩代わりすることを極力回避する前提とすると現実的ではなく、(2)(3)にもそれぞれメリット・デメリットがあるため、いずれの案とするかは「政治判断にゆだねる」とし、なお検討すべき課題について年度内をめどに機構の業務・組織改革に係る工程表を策定。これに基づき、実現可能な改革から逐次・早期に実施し、そのうえで所定の法改正等制度的対応も含めた組織の改革を行なうべきとした。
馬淵大臣は、UR都市機構改革の基本方針を「債務の縮減」「(UR都市機構の)役割」「透明性の高い組織・運営」とした。また組織形態については、「機構の膨大な債務を考えれば、民間会社化は現実性に乏しい」とし、報告書の提言どおり「社内分社化した新しい公的法人」「全額政府出資の特殊会社」で検討したいとした。さらに、両案とも「一定の公的関与の下でより会社的経営を取り込み、効率的な業務運営を図ろうとする点で同じ方向をめざしている」ことから、「まず新しいタイプの公的法人に移行、業務運営の効率化を図ったうえで、特殊会社化するということも考えられる」とコメントしている。