(財)東日本不動産流通機構は、(株)東京証券取引所が4月26日から試験配信を開始する「東証住宅価格指数」に、首都圏中古マンションの成約事例データの提供を行なう。
同指数は、日本版「ケース・シラー住宅価格指数」をめざし、東証が早稲田大学の監修を受けて開発を進めてきたもので、同指数同様の「リピート・セールス法」(同地域の類似物件の成約価格差を分析し、標準価格を割り出す手法)を用いることで、住宅価格動向の国際間比較を可能にする。同指数の公開により、不動産市場の活性化と透明性向上が期待できることから、国土交通省から同機構に対し、成約データの提供が打診されていた。
これに対し同機構は、全国3機構等の実務担当者も交えた検討チームを、2010年10月に設置。機構事業との整合性(公益性)や個人情報保護といった課題に対する対策を行なったうえでのデータ提供は可能との結論に達し、4日開催の理事会で機関決定した。
東証の住宅価格指数は、「既存(中古)マンション・首都圏総合」「同・東京」「同・神奈川」「同・千葉」「同・埼玉」の5種類。2000年1月の価格を100とし、米国ケース・シラー住宅価格指数同様、毎月最終火曜日に、2ヵ月前時点の指数が発表される。同機構は、2000年からの中古マンション成約事例データ約40万件と、毎月の成約事例データを無償提供するが、不動産市場への悪影響等があった場合は、データ提供を取りやめる。東証は最長3年間の試験配信期間中に、システム検証等を行ない、本配信に移行する。
今回のデータ提供について、同機構理事長の池田行雄氏は「当機構の持つ公益性の観点から有意義なもので、機構の持つデータの信頼性の証でもある。同指数が広く利用され、不動産市場の活性化、取引の円滑化の一助となることを期待したい」とコメントしている。