早稲田大学パブリックサービス研究所(PSRI、小林麻理所長)は資産マネジメント研究会を設立し、6月27日に早稲田大学で第1回キックオフ研究会を開催、不動産業界関係者を中心に約80人が出席した。
同研究会は、地方自治体が保有する施設やインフラなどの資産マネジメントの重要性を考慮し、産官学民が連携して、地方自治体の効率的な資産管理手法の確立めざして設立されたもの。研究会長はPSRI所長・小林氏が、事務局はPSRIの招聘研究員・蓑田謙司氏((株)不動産戦略研究所代表取締役)が務める。
小林氏は、「地方自治体による従来の予算と決算というフローのみの管理から、フローとストックのマネジメントへ転換することが重要」と指摘したうえで、「新公会計改革の波のなかで、資産マネジメントに焦点を当てなければならない。また、市民のニーズを土台に将来を見据えた資本および資産計画を立て、行政サービスを提供していくという観点でマネジメントしていく必要がある」などと語った。
また、当日は、浜松市財務部資産経営課専門監の中野一宏氏が「浜松市における資産経営の取組み」と題して講演。同市の公会計への取り組みや資産経営、施設評価や公共施設再編など、自治体による先進的な取組み事例を紹介した。
続いて蓑田氏が、米国マサチューセッツ州の資本改善計画について紹介。そのうえで、資産マネジメントのポイントとして、流動性を意識した資産情報の整備、複数年予算と一体になった資産および負債の管理、市民参画の機会の確保などを挙げ、「地方自治体が、産官学民の連携によって地域のための組織へと進化させるため、戦略的資産マネジメントの確立が重要」と指摘した。
今後、同研究会では、一般公開を前提とした定例研究会を年4回開催する予定。研究成果を発信することで地方自治体の戦略的マネジメント導入のための啓発活動を行なっていく。
なお、同研究会では、研究委託自治体や賛助(寄付)団体を募集している。問合せは、PSRIのホームページを参照。