ヒューリック(株)は、東日本大震災後、改めて保有ビルの災害対応性能をチェックし、耐震性能、液状化対策、津波・浸水対策の3項目の観点から、高い安全性を確認したと発表した。
耐震性能については、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震発生時、神戸三宮地区で震度7を経験し、その後も継続使用している「ヒューリック神戸ビル」を基準ビルに設定。この基準ビルより耐震性の劣るビルについては耐震補強工事を施す予定。これにより、すべてのビルにおいて震度7レベルの大地震発生時でも建物の内部にいる人命の安全が確保され、建物の被害も軽微なものとなる。
新築ビルでは、東日本大震災でも有効に機能した免震・制震構造を原則採用していく。
液状化対策については、11棟のビルが液状化の可能性がある地盤に位置していることから、綿密にチェックし、必要に応じて耐力試験等を実施している。ただ、液状化に強い杭構造などを用いて建設しており、液状化による建物への影響はないとしている。
水害への対応については、地下部分が浸水して電力設備等が損傷した場合に備えて、保有ビルのうち、受変電設備や自家発電設備を地下に設置しているビルについては現状を調査、必要な浸水対策を実施する。
その他にも、業務の中から会社として機能維持に必要最低限なものを再度洗い出し、事業を継続させていく体制を確立。地震発生後交通手段が被災した状況をも想定し、近隣居住者による限定的な出社人数で対応できるようにし、従業員誰もが代替的業務を遂行することができるように配慮したという。
また、災害により本社機能の維持が難しい場合は、関西に拠点を移して資金管理、経理を中心とした業務を遂行できるよう、必要な体制を整備した。