(社)不動産流通経営協会(FRK)は28日、第16回(2011年度)「不動産流通業に関する消費者動向調査」を発表した。居住用不動産取得者の取得行動を把握することで、不動産流通に対する消費者の行動を捉えることを目的に、1991年から実施しているもの。調査対象は、首都圏1都3県で、10年4月1日から11年3月31日の間に購入した住宅の引渡しを受けた世帯。有効回答数は959票。
住宅購入者の自己資金をみると、「親からの贈与」の平均利用額が新築住宅購入者(以下、新築)・既存住宅購入者(以下、既存)ともに前年度よりやや増加し、新築で916万3,000円(同55万6,000円増)、既存で955万円(同192万2,000円増)。「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度」の利用者の割合は14.4%だった。また、世帯主の年齢別に「親からの贈与」の利用率をみると、「29才以下」が最も多く33.9%。「30~34才」でも27.8%となっており、若い世代での利用率が高く、受贈額1,000万円以上の割合は「29才以下」31.6%、「30~34才」47.0%、「35~39才」55.3%だった。
利用したローン金利タイプについては、「変動金利型」が84.6%(同9.9ポイント増)。一方、フラット35が適用可能な住宅を購入した世帯のなかで、実際に融資を利用した世帯の割合は、新築・既存ともに前年度より大幅に増加し、新築で32.6%(同14.5ポイント増)、既存で47.1%(同19.4ポイント増)となった。
住宅の購入にあたり探した住宅については、新築住宅購入者に占める「新築住宅のみ」を探した購入者の割合は前年度に引き続き半数を下回り、幅広い選択肢のなかから住宅を選んでいることがうかがえる。既存については、「既存住宅のみ」もしくは「主に既存住宅」を探した購入者の割合が年々微増し、40.6%を占めた。既存住宅の購入理由は、「希望エリアの物件だったから」(69.7%)、「手頃な価格だったから」(53.4%)、「良質な物件だったから」(47.9%)が上位3つを占めており、立地や物件の価格に次いで、住宅の質が購入の決め手となっている。
また、自己所有住宅から住み替えた世帯の74.1%が従前住宅を売却しており、うち売却損が発生したのは76.6%(同▲1.1ポイント)。うち、「1,000万円以上の損」は前年度と同程度で36.1%(同▲0.1ポイント)、「3,000万円以上の損」は9.9%(同4.8ポイント増)と、高額な売却損が発生した世帯の割合がやや増加した。