

積水ハウス(株)は10日、イイノホール&カンファレンスセンター(東京都千代田区)で、「子どもの未来に私たちができること~ここまで進んだシックハウス対策」と題したセミナーを開催した。
セミナー冒頭では、同社代表取締役社長兼COOの阿部俊則氏が挨拶。2003年の法規制後もシックハウスに苦しむ人が増加している現状、同社が企業サポーターを務める「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」などに触れ、子どもの未来のために産官学が連携した取り組みが必要なことを強調。
また、7月に販売開始した空気環境配慮仕様「エアキス」が同社戸建住宅の7割に採用されていることを報告し、「住宅メーカーとして、時代や社会に則した業界スタンダードをつくり、牽引していく。環境への関心が高まる時勢を、新しいビジネスチャンスと捉えて今後も進んでいきたい」などと語った。
第1部の基調講演では、化学物質過敏症など環境医学の権威、クラウディア・S・ミラー氏(テキサス大学医学部教授・医学博士)が、「健康な子どもたちのための住居設計」をテーマに講演。環境病を理論化した新しい疾病概念「TILT(化学物質不耐性)」を用いて、現代では室内の化学物質の曝露によるさまざまな疾病の危険性が増えていることを解説。対処には予防、原因となる化学物質の曝露を減らす(回避)することが有効であり、特に影響を受けやすい胎児に関しては、妊娠前より良質な建築資材を用いるなど、屋内の環境面での安全性を考えることが重要、などと説明した。
このほか、ミラー氏、東海大学大学院医学研究科教授・医学博士の坂部 貢氏、千葉大学大学院医学研究院教授・医学博士の森 千里氏ほかによる「ケミレス研究から見えてきた化学物質対策の今後」をテーマとしたパネルディスカッションも行なわれた。